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14-2 男と男の約束(2) 運命の出会い

「……いてて……」 森の中で目を覚ましたレオンハルトは、ひたいに手をあてて小さくうめいた。 さっきまで修行の最中だったはずなのに、気づけば見知らぬ森の中に転がっている。 転送術の暴発か、師匠の試練なのか、理由はわからない。 ただ右腕に擦り傷が走り、血がにじんでいた。 「おーい! だいじょうぶ?」 ぱたぱたと草むらをかき分けて現れたのは、小柄で大きな瞳をした少年だった。 小さな王子服に、少し土で汚れた膝。 無邪気さを隠しきれない笑顔を浮かべていた。 「……誰だよ、おまえ」 「ぼくはユリウス! きみ、怪我してるじゃないか!」 勝手にぐいっと手をつかまれ、レオンハルトは目を丸くする。 普通なら警戒するはずなのに、この少年はあまりにまっすぐで、押しが強い。 「いいから! お屋敷に来て! 手当てしてあげる!」 「は? オレ、そんな暇じゃ──」 「だめっ! 血が出てるんだよ!? ほっとけない!」 抵抗する間もなく引っ張られていくレオンハルト。 初対面から圧倒されていた。 屋敷に着くと、執事風の青年が出迎える。 ルカと名乗ったその人物は、ユリウスの後ろで控えめに頭を下げた。 「坊ちゃま、また突然知らない方を……」 「ルカ! この子、怪我してたんだ! 助けなきゃ!」 「……承知しました。どうぞこちらへ」 応接間に通され、手当てを受けながら、レオンハルトは居心地の悪さを感じていた。 (やばいな……長居はできない。師匠のところに戻らなきゃいけないのに) 「ねえ、名前は?」 「……レオンだ」 「レオン……! かっこいい名前だね!」 にぱっと笑うユリウス。 その無邪気さに、つい顔を背けるレオンハルトだった。

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