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14-3 男と男の約束(3) 友情と冒険

翌日も、その次の日も、なぜかレオンハルトは屋敷を出られなかった。 出ようとするたび、ユリウスがにこにこと両腕を広げて立ちふさがるからだ。 「まだ遊んでない! 帰っちゃだめ!」 「オレは遊びに来たんじゃ──」 「じゃあ今日だけ! ね、お願い!」 結局折れてしまうレオンハルト。 彼の性格からして、本気で泣きそうになるユリウスを置いていけなかった。 村の広場でバーベキュー。 レオンハルトが火を起こすと、ユリウスは目を輝かせて拍手する。 「すごい! レオンって、なんでもできるんだね!」 「こんなの誰でも……おまえがドジなだけだろ」 「むっ、意地悪!」 頬をふくらませるユリウスに、レオンハルトはつい笑ってしまう。 森を散策すれば、ユリウスが先に走っては転び、レオンハルトが手を引き起こす。 村人たちと遊べば、ユリウスは「ぼくのともだちだよ!」と誇らしげにレオンを紹介する。 (……なんだよ、コイツ。放っておけねえ) 気づけば心がほぐされている自分に、レオンハルトは少し戸惑っていた。

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