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歩き出そうとしたら不意打ちで抱きしめられて変な声出た…
「ふあっ?へ?どしたの?」
「ふふっ。えっと…僕も一緒に行く。手繋いでいい?」
「お…おーっ。いいよぉ!天使ちゃんったら甘えたさんだなぁ」
動揺してるのバレたくなくて頑張って元の笑顔に戻していつものように答える
「美作には敵わないなぁ」
「へ?何が?」
いや。ホントに何?何考えてんの?
「ううん。何でもない」
急に恥ずかしくなったのか自分から握った手を離そうとするから意地悪したくなった。彼の手を逃さないようにぎゅっと捕まえて憧れてた恋人繋ぎをしてみる。
「天使ちゃんが言ったんでしょ?男に二言はない!でしょ?手繋いでいくよぉ!」
熾くんは手を離すことなくついてきてくれた
「はい。どうぞー」
「うん。ありがと」
…てかさ…水飲む姿まで絵になるってどういうこと?そう思ってじーっと見つめていたら口の端から水が溢れた。何だかとってもえっちだ…
「ほらぁ…ここから溢れてるよ」
何だか照れるけど口端をそっと指先で拭った。
そこにキスできたらな…何て思ってたら胸の鼓動が速まった
「ねぇ。熾くん」
「な…何?」
「あのさ。俺じゃだめな訳?」
「は?」
ねぇ?手を繋ぐのもキスするのも抱き合うのも…俺じゃだめかな?
「俺さ。美人じゃん?しかも最上級じゃん?優良物件だと思うよ?」
真剣に言うと恥ずかしいからいつもの調子で言葉を紡いだ。
ねぇ。熾くん。俺ね、自分を偽らない素直で真っ直ぐなあなただから恋したんだよ。見た目に囚われないで真っ直ぐ自分の決めた道を進む…そんな君だから…
気持ちは精一杯伝えた。けどすぐに答えは求めてない。あんなに好きだった彼に振られたばっかりですぐに切り替えるなんて熾くんは出来ないだろうから。ゆっくりでいい。俺のこと考えてくれたら嬉しいなって…
これからは俺が熾くんに振り返ってもらえるように頑張る番だ。王子様じゃなく美作ラフっていう普通の人間を好きになってもらえるように頑張る番。
だからまずは友人として側にいさせてね
その後俺は毎日一番に熾くんに会いに行った。時間が許す限り熾くんから離れなかった。
2人並ぶ姿がお似合いだとこれまで熾くんや俺に好意を向けていた人たちも俺たちを見守る側になってくれた。
あいつは熾くんに近付かなくなったけどそんなのあまり気にしてる様子はないみたい
「天使ちゃーん!おはよー!今日も可愛いねぇ!」
最近は熾くんも俺が側にいることを許してくれていると思う。少しだけ特別になれたかな?
でも俺も勿論ただの人間でみんなと同じ健全な男子な訳で…ちょっとだけ…先に進みたいなぁなんて欲が出てきてしまった。それを感じとったのか
熾くんが真剣な表情で俺に話しかけた
「ねぇ。美作。今日話しがあるんだけど…」
「ん?真剣な顔してどしたの?いつでも聞くよー!」
ヘラヘラしてはみるけれど心の中は嵐が吹き荒れてる!どうしよう!もしかして嫌がられるようなことしたかな?もう側に来ないでなんて言われたら生きてけない!
…だけどそんなの隠し通して笑って一緒に歩き出した。どんな話でもちゃんと聞こうって覚悟を決めて…
ねぇ…本物の天使様。俺たちのこれから先の未来はどうなのかな?どうか…どうかいい方向に行くように!お願いします
完?
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