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Act1.帝光学園 それぞれの思惑3
しかし和美さんはルークの発言を左から右へ聞き流し、手首を背中に隠した僕と太郎ちゃんを交互に見た。
「おい、ルーク。次は、おまえの番だぞー。荊棘切が生徒会に来いってよ」
かったるそうに頭を掻 いて大きなあくびをしながら伊那が帰ってきた。
「って、おまわりじゃねえかよ!? ルーク、おまえ、何をやらかした?」
「べつに。ただ、副会長さんが彩ちゃんにまた、ちょっかいを出していたから『勘弁してください』って、お願いしてただけー」
「ったく、しつけえやつだな! 何度も彩都が拒否ってるのにストーカーみたいに、つきまとってきて」と伊那が、ぶつくさ文句をつけ始める。
すると和美さんは、伊那のほうを注視する。
その瞬間、ルークは自らの足を強化し、走る速度を上昇させ、猛スピードで廊下を駆けていった。
眉間にしわを刻んで和美さんは、ロケットみたいに突き進み、遠ざかっていく彼の背中を見つめるものの追いかけるつもりはない様子だ。ぎろっと伊那のほうへ睨みをきかせながら、彼は静かな口調で、しゃべった。
「相方と連携を取り、一瞬の隙を狙って能力を発揮するとはな、子どもの頃から、こういうことをやってきたのか?」
「相方ぁ? あいつはイケ好かねえ親戚ですよ。顔を合わせるたびに喧嘩してるくらい仲が悪いのはガキの頃からです。利害の一致や趣味は似てますが、あんなの連携を取ったことなんて一度もありませんよ」
すっとぼけながら伊那が「あんなやつ放っておいて、さっさと飯に行こうぜ。昼飯、食いっぱぐれちまうよ」とブーイングをあげる。
「……あまり無茶はするなよ、転校生。何かあったら、すぐ報告するように」
そうして和美さんは見回りを再開したのだ。
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