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第22話

 時が止まったのかと思った。  息をする事すら忘れ、画面に浮かぶ名前を凝視した。  ――蓮。  画面の中に、その名前があった。  なのに、指が震えてメッセージ画面を押すことが出来ない。  なんで?  どうして?  何かあった?  なんで……今……  胃の辺りが重く、鼻の奥がツンとした痛みを感じた。  その感覚から逃げるようにスマホを裏返してベッドの上に置く。  ただスマホを見つめることしか出来ない。  瞼の裏に名前だけが焼き付いて離れなかった。  ――なんで、今?    欲しかったときには――    スマホに伸ばす指先が震える。  画面のロックを外した。    ――見るだけなのに。    指が、動かない。 「…………」  どれくらい時間が経ったのか分からない。  親指を画面に落とす。  静かにメッセージ画面が開かれる。  カーソルが無機質に点滅していた。   「…………」  何かを打とうとして指が止まる。  ―久しぶり―  入力してすぐ消す。  ―いまさら、なに?―  打ちかけてすぐ、消した。  結局、画面にはなにも残らなかった。    ……別に、返す必要はないのかもしれない。  そう思って、指を離す。  でも……  また、画面に触れていた。  自分でもなにをしているのか、分からなかった。  カーソルだけが、静かに点滅していた。  

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