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第22話 情動
「あ……シラハ様……シラハ様……!」
ヨギを抱きしめ、その腹の中を緩くかき混ぜるだけで、ヨギの唇からは私の真名がぽろぽろと零れ落ちる。
幸せそうにヨギが私の名を呼ぶごとに、世界が鮮明になっていくような錯覚に襲われる。色が増え、音が増え、肌に感じる感覚が増えていくようだった。
「気持ちいい……シラハ様ぁ……」
今までもずっと触れあっていた筈のヨギの肌に浮かぶ汗も、快感を得る度に浮かぶ肌の粟立ちも、柔らかなその肌理すらも感じ取ることができる。
「くぅ……ん、あふ……シラハ様……もっと……」
ほろほろと涙を零しながらも私をさらに求める姿に、胸の内が焼かれるように熱くなった。
あの頼りなく、小さな子犬のようだったヨギが。
若鹿のように溌剌と成長したヨギが。
こんなにも淫靡な一面を隠し持っていたとは。
「あ、あ、あ、すごい、シラハ様……!」
これまで見たことがなかったヨギの淫靡な姿に視界も脳内も埋め尽くされて、何も考えられなくなっていく。
同時に、自分の中に眠っていた熱い情動にも気がついていた。
どこか感情が薄く、人族が、獣人族が、短い命の中で感じる情熱を愛しく思ってきた私の中に、こんなにも豊かな色彩が眠っていようとは。
ヨギがこんな風に強く求めてくれなければ、きっと私はこの世界が、自身の本性が、こんなにも繊細な情感に溢れたものだとは知らぬまま生きていったに違いない。
「シラハ様……」
熱に浮かされたように私の名を呼ぶヨギの声が心地良い。その声に導かれるように、私はいつしか何度も何度もヨギの身の内を穿っていた。
「ひうっ、あ、奥……っ、無理……っ」
もはや自身の内から来る激しい欲望を止めるすべなど持たぬ。
龍族にとって、番の腹に精を放つというのは、特別な意味があるのだ。
この愛しい番を、自身と同じ時の輪の中に招じ入れる……最も幸福で、最も大切で、最も聖なる行為。
もっと奥へ。
ヨギの奥の奥まで。
最奥に、私の精を届けなければ。
私のすべてを受け入れてくれるこの愛しい者と、少しでも長く、共に時を過ごせるように。
そんな思いに囚われて、無我夢中でしなやかなヨギの体に腰を打ち付けていた。
「あっ、シラハ様……! あっ、アッ、アッ、アッ、アア、ン、アッ、そこ……!」
ヨギの声が切なく響くところを強く擦りながら最奥を目指す。
「ヨギ……!」
「シラハ、様ぁ……気持ち良すぎて、おれ、もう……!」
ヨギの悲鳴のような高く細い声に、脳内がひときわ熱くなった。
「私の……愛しい……つがい……」
「シラハ様、目が……っ」
どうしよう、幸せ……幸せ……!!!
聖龍様がおれを番だって。
シラハ様って呼んでいいって。
真名を呼んでいいのはおれだけだって。
それって、おれが、おれだけがシラハ様の特別だって事だよね……?
ぎゅうって抱きしめられて、優しくお腹の中をぐちゅぐちゅ揺すられて、幸せすぎて「シラハ様、シラハ様」って呟いてたら、だんだんシラハ様の動きが激しくなってきた。
すごい……めちゃくちゃ気持ちいい。
声がおさえられなくて恥ずかしいけど、シラハ様が嬉しそうだからおれも嬉しくなって、気がついたら「もっと」っておねだりしてた。
おれがおねだりしたら、シラハ様はいつだって、大抵のことはかなえてくれる。
だからもちろん、すぐにおれの願いはかなえられた。
「あ、あ、あ、すごい、シラハ様……!」
いつもの穏やかで緩やかな動作が多いシラハ様とはかけ離れた、力強くて激しい動きでシラハ様のおっきいちんちんがおれの内側を穿ってくる。
気持ちいいところをいっぱい擦られて、奥を責め立てられて、おれは息するのも難しくなってきた。
「あっ、シラハ様……! あっ、アッ、アッ、アッ、アア、ン、アッ、そこ……!」
「ヨギ……!」
たまんない声でシラハ様がおれの名前を呼ぶから、くぅん……って鼻が鳴ってしまう。
「シラハ、様ぁ……気持ち良すぎて、おれ、もう……!」
気持ち良すぎて涙が出てくる。シラハ様を見上げたら、今まで見たことないくらい昂ぶったシラハ様の顔があった。
「私の……愛しい……つがい……」
そう呟いたシラハ様の目に違和感を感じる。急に瞳がきゅうっと細くなった……?
「シラハ様、目が……っ」
「……っ」
おれの声が聞こえてないみたいに、シラハ様は荒い息をつきながら一心におれの中をガツガツと穿っていく。
気持ちいい。
気持ちいい。
シラハ様が夢中でおれをむさぼってる。
シラハ様がおれを。
我を忘れたみたいに、求めてる。
嬉しくて。幸せで。気持ち良くて。
「ヨギ……ヨギ……私の番……私の、唯一……!」
うわごとみたいに囁く声とはうらはらに、体はめちゃくちゃに揺さぶられていた。
こんなにシラハ様が激しいなんて、聞いてない。
「あうぅ、シラハ様、し、しんじゃうぅ、子種……もう、出してぇ」
たまらずにそう願った瞬間、シラハ様の額ににょきって立派なツノが現れた。
「……!」
驚きで息をのむおれの腹から、シラハ様のでっかいちんちんがギリギリまで引き抜かれて、一瞬で再奥まで挿入ってきた。
「ぐ、あぁっっっ」
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