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第8話
いつの間にか眠ってしまい、ベッドで目が覚める。
リョウさんは、ベッドの下に座って手を握っていてくれた。
目が覚めて少し動いたからか、リョウさんから声がかかる。
「澤田さん、起きた?まだ眠かったら寝てていいよ?」
「…なんで…そんな優しくするんですか?」
「…ほっとけないから」
「え?なんですか、それ」
「…ほっとけないという言葉が正解かは分かりません。でも、俺が言いたい言葉は澤田さんが聞きたくない言葉だと分かりました…でも、なんでそうなったのか知りたいです。」
「リョウさんが言いたい言葉って…」
「初めてあなたを抱いた日からです。正直に言うと、初めは、ひどくして欲しい、乱暴に扱って欲しいと望むあなたに興味を持ちました。そして、今日連絡があって、自分の気持ちに気づきました。興味より、もっと深い気持ち…単純に連絡が来て嬉しかった。」
「そんなの嘘だ…」
「どうしてそう思うの?」
「だって、俺は愛されない…。少し、優しくされたら勘違いして…上部だけの愛してるに喜んで、どこかでは分かってるのに尻尾振って都合のいいオナホになる。
もう…嫌なんだよ。俺ばっかり好きで…自分に言い聞かせるんだ…大丈夫、都合のいいオナホでもないし、ちゃんと愛してくれてるって…でも、そう思ってること自体おかしいだろ?そんなのおかしい…」
泣いて話す俺を抱きしめて、最後まで言えるように、「うん」と相槌をして背中をさすりながら聞いてくれる。目隠しのハンカチはぐっしょり濡れて気持ち悪いのに優しく抱きしめられてると次から次へと涙が溢れた。
「たくさん傷ついてきたんだね…」
「……」
「…今日が終わったら、もう俺には会いたくない?」
「……分からない」
「そっか…。じゃあ、聞きたくないかもしれないけど言わせてね。俺にチャンスをくれない?」
「…なんのチャンス?」
「目隠しもそのままでいいし、セックスは少しだけひどく、乱暴にする。だけど、愛させて欲しい。可愛い、好きって言わせて欲しい。」
「それは、随分一方的ですね。」
「うん。一方的に愛や気持ちを伝える。だけど受け取らなくてもいいし、返さなくてもいい。」
「は?」
「だから、澤田さんも好きにしていいってこと。無理してセックスしなくてもいいし、無理して気持ちを隠さなくていい。だけど、甘えたい時、弱ってる時、俺を頼って欲しい。」
「セックスしなくても会うの?」
「そう。第二週と四週の金曜日に会うのはどう?土日が休みだよね?」
「…」
「会わないって選択はしないで」
「この関係はいつまで?」
「来年のクリスマスに、澤田さんの気持ちを聞かせて?」
「…わかりました」
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