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第3話

3.Sail〈航海する〉 船が湾を遠くに見て海原に出て行く頃には、 皆、夜の航海の神秘的な眺めに没頭しだし 帆が風を受ける音、そして 船が波をきる音だけが甲板に響いている。 どこまで行くのか、誰も気にしない 何しに行くのか、誰も聞かない。 そんな、すこし夏が来る前の小さな海の旅 やがて星は雲に隠れ、月も薄いベールを纏い、闇が深くなる。 波の船体にぶつかる音だけが時のリズムを刻む。 俺の横にもたれかかる志奈子にそっとキスをして その肩を抱く。 誰も見てない、誰もいなくなった。 みなそれぞれに、想いの世界に入ってる。 たくさんいるのに1人。 1人だけど寂しくない。 1つの船で それぞれの想いにふけっていく。 みながそれぞれの甲板のうえ、落ち着く体制で眠りに入った。 夜の海。 クルー達は 船の舵を代わりばんこに保ち 船は進んで行く。

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