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第4話
4.The rising sun〈 朝日〉
朝日が海面に頭を出した頃
港の堤防が見えてきた。
いつも船を付ける岸壁が
今朝はとっても眩しくて、
舵をクルーの1人に渡した俺は
海に飛び込んだ。
「うわー泳げんの?」
「え!飛び込んだ?」
と口々に、起き出す知り合い達の中で
我関せずと、
のんびりと朝日を眺めるまんぞう。
自分も恐々、飛び混むかと船の下を覗き込む、あーくん。
コーヒーいる?と^^周りに声かける気のつくスーコとか。
波の穏やかな海面に漂いながら
ヨットの上の人達を眺める。
そこへ
バッチャーンと音がした。
側に泳いできたのは
知り合いの知り合いの1人
葉ちゃんとか呼ばれてる、確か
画家の卵?
ザバーと一回潜って海から出した顔は
陸の上と違う、
黒髪が濡れて顔にまとわりつき、船の上ではメガネで隠れていたその眼差しはアーモンド型
その瞳はなんとも言えない綺麗な碧色?
思わず、ドキッとした俺は
何だ?と思う間も無く
葉ちゃんに引っ張られて、岸壁へ向かう。
「気持ちいいな
ヨットの上より、気持ちいい」
「両方良いじゃない?
でも、港見ると、泳いで行きたく なっちゃうんだよな」
と返す俺をまぶしそうにみる葉ちゃん。
朝日が昇り始めて、その髪も肌も薄く光を浴びて輝き出す。
目が離せなくなって、暫し眺めていると、
葉ちゃんは
「綺麗だな…」
そう呟くと、
大きく手を回してクロールで先に泳いで行った。
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