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第2話 ピンチはシャワールームで
……マジでヤバイ。
俺は、快楽にめちゃくちゃ弱いのだ。
だから、告ってくる女達は二股はしないものの、切れた事がほぼない。
つい、男の手をオナホ代わりに腰を振りそうになるのを、理性で必死に止めた。
しかし、腰を振らなくても男は手でしごいてくる。
男の手についた石鹸が滑りと感度を良くして、俺は感じまくった。
「や、やめ……♡♡」
「湊のちんこは喜んでる」
一生懸命射精の解放を押さえ込んでいるのに、男は構わずぐっちゅ♡ ぐっちゅ♡ と素早く手を上下に動かした。
何で、シャワーを止めたんだ。
卑猥な音が嫌でも耳に入ってきて、どうしてもその気になってしまう。
目を瞑れば、普通に女とセックスしているかの様な感覚に陥ってしまう。
そして、添えられた親指が先端のカリ首をなぞった時、俺の我慢はとうとう瓦解してしまった。
「嫌だぁ……っっ♡ ぁあ、ああ……っっ♡♡!!」
「……イけよ」
びゅるるるる、と勢い良く発射された精液は若さのせいかなかなか止まらない。
目の前の壁は白くねばねばした液体でコーティングされていった。
……自分でオナるよりずっと気持ち良かった。
正直、同じ男だからか歴代彼女の手コキよらりも断然に良かった事は認めよう。
だけど。
「……はぁ♡はぁ♡……はぁ……♡」
足に力が入らず、ずるりと崩れ落ちそうなところを、俺の両手を壁に縫い止めた男の片手が支える。
見知らぬ男にイかされた。
最悪だ……!!
「気持ち良かったよな?」
無遠慮にそう聞いてくるその男を俺はギロリと睨み付けた。
「……」
「そんな、物欲しそうな顔すんなよ」
は!?
誰が物欲しそうだって!?
こいつヤバイ、勘違いも甚だしい!!
「じゃあ、交代な」
「……」
俺が何でお前のちんこを触らなきゃなんないんだ。
一旦欲を吐き出して少し落ち着いた俺は、文句を言おうと口を開く。
ぐちゅ。
「ひっ」
開いた口は、あり得ない感覚によって、言葉を失った。
「……きついな。当たり前か」
「!?□☆÷×○!?」
ななな何してんだこいつ!!
俺の穴 に指入れやがった!!
「き、汚っ……」
「大丈夫だ。今、石鹸で洗ってるから」
大丈夫じゃない!!
石鹸で洗うところではあるが、指は突っ込まない、普通!!
この時の俺は、どうかしていた。
初対面の、自分より力のある男に初めて尻をほじくられて、どうしたら良いのかわからず途方に暮れたのだ。
別名、放心状態という名の現実逃避をした。
もし、この時。
男に激しく抵抗したり、口汚く罵ったりしていたならば、俺の人生は全く違った結末だったかもしれない。
***
「指一本でキツキツだな。まぁ、大丈夫だろ」
ななな何が!?
俺は心の中でガクブルしながら、実際は再び手コキされて喘いでいた。
「んぅ♡……っは、はぁ……っ♡」
ヤバイよ、本当に何でこいつこんなに巧 いんだよ……っっ!!
感じたくないのに臨戦態勢になった俺の分身は、天を向いて先走りをボタボタ垂らす。
それだけならまだ集中出来たかもしれないが、お尻に突っ込まれた指がじゅぶじゅぶ出し入れするものだから、どうにも気持ち良さと気持ち悪さの狭間で心と身体が揺れて、どっち付かずの宙ぶらりん状態だった。
苦しい。
こんな男、大嫌いだ!!
その時、シャワールームの引き戸がガララと開けられ、誰かが入ってきた気配がした。
俺は真っ青になったが、後ろに立った男は冷静にシャワーをひねってお湯を出し、俺を後ろから開脚させて抱えあげ、両腕を壁につけて俺を支えた。
「おーい駿琉 、いるか?」
「……ああ」
知らない生徒の呼び声に、後ろの男が答えた。
おおおお前っっ!!
何平然と答えてんだよっ!!
個室には鍵なんてねーんだぞ?
開けられたら一発アウトだ!!
気が遠くなり、固まっていた俺の身体が弛緩した……らしい。
後ろの穴に、何かが当たったのを感じた。
「何? 何か用か?」
かける、と呼ばれた男は平然と答えながら、俺の身体を落として、尻に何かを捩じ込んでいく。
指の様な細さではない強烈な熱さを纏った棒の先っぽが、俺の尻の穴の入り口を引き延ばして酷い痛みを感じさせた。
痛い痛いいたたたた!!
めっちゃ痛い!!
痔になるコレ!!
目を白黒させながら、それでも声を発っする事の出来ない地獄。
そんな俺の耳に駿琉は、はぁ、という艶かしい吐息を吹き掛けた。
いやいや男の色気なんて感じても嬉しくも美味くもないんだけど!!
「あー、俺今日はちょっと用があるから先に帰ってるわー」
え。待って、置いてかないで。
「了解。また明日な」
後ろの男 、友達なら連れて帰ってくれよ是非!
「おー。じゃーな」
「ああ」
再びガララ、と扉が閉まった音がして、駿琉はふぅ、と息を吐きシャワーを捻る。
パタパタっと最後の水滴が俺の顔にかかって止まる。
正直、大会よりも緊張した気がした。
「焦った?」
駿琉はそう言いながら、ペロリと俺の耳朶を舐める。
ヒイイイイ!!
「い、痛い……!抜いて、は、早く下ろせよ……っっ」
もう本当に色々限界で、涙目だ。
「そうか。俺のちんこ、そんなにデカくないしいけると思ったんだけどな」
残念そうに言いながらも、大人しく言うとおりにめり込んでいた先っぽをくぽ♡ と抜いてくれて、そっと両足がつくように下ろされ俺は脱力した。
た、助かった……!!
「じゃ、今日は素股で」
駿琉はそう言って、男の太腿に自分の欲望を挟ませ、腰を振りだす。
さっきと同じく、直ぐ様急所 を握られ、俺は逃げられない。
「………んっ♡……ふ、ぅ……っっ♡」
尻に気を配らなくて良くなった俺は、ゴッドハンドに急速に高められた。
ちらりと太腿から見え隠れする駿琉のペニスは、確かに俺が思っていた程大きくはなく、俺のと同じ位だ。
しかし、やけに長い。
「……っ、湊……っっ、湊……!!」
さっきまで名前も知らなかった奴に自分の名前を囁かれながら女の様に素股される、なんて誰が考えるだろう?
もう、金輪際、シャワールームなんて使わねぇっっ!!
ぐちゅっ♡ ぐちゅ♡ ぐちゅ♡ ぐちゅ♡
手のスライドと、駿琉の腰が同時に動いて、二人してペニスに限界がくる。
「ぅあ……っ♡ 手、離せっ♡」
「……っ、イけよっ!!」
「やめっ、イく、イっちゃ……♡♡~~っっ♡♡」
「俺もっ……っっ!!」
どぷ、と二度目の欲を吐き出した瞬間に、俺の股に挟まったものからも勢い良く熱が発射された。
「~~っっ♡♡」
「……、っっ……、すげ、出た……」
二人分の子種がシャワー室の壁を汚し、俺は気まずさで何とも言えない気分になる。
「湊、この後は真っ直ぐ帰るのか? 送ってくよ」
「……」
まるで彼女に言うようにごく自然に駿琉が言い、俺は怠さの残る中、口を開いた。
「……結構です」
「そっか。じゃあまた明日」
あっさりと俺を置いて、何事もなかったかの様に駿琉はシャワールームから出て行った。
また、明日、だと??
結局何で男に手コキされる羽目になったんだっけ、と頭を捻りながら、俺はジンジン痛む尻を労りながら帰宅した。
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