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第1話 俺の師匠は服装がおかしい
俺の生きている世界はいつからか、魔王の脅威に怯え切っていた。俺が物心ついた時にはもう魔王の存在が人々の上に暗雲のように纏わりついていて、そういう意味では俺は晴れた日の空を見たことがない世代の人間だった。
人々は、いつか勇者が現れて魔王を討つ、という共通のおとぎ話を心から信じている。軍隊を率いて魔王討伐を試み、失敗していくつかの国が消えてしまってからはもうずっとそうだと言う。村や街から一人、勇者の素質のある人間を選抜して送り出し、修行をさせて討伐に行かせるということが何度か行われており、馬鹿正直に討伐に向かったのか、責務を放り出していなくなったのかは知らないが大体は帰って来ない。その営みはもうほとんど神頼みに近いのだが、人々はそんなものにしかもう縋れないのだろう。俺の村からも俺より年上の若者が何人も送り出されて帰って来ず、俺もいつか同じ運命をたどるのだろうと思っていた。
そして、俺の予想は案の定その通りになったのだった。
「セーガン、どうしたのですか。窓をお閉めなさい。雨が吹き込んできてしまいますよ」
俺の修行を請け負った師匠は、ラムフェルと名乗るエルフの男だった。それこそおとぎ話の存在だと思っていたエルフは齢1000年を超えているらしいのに、男の俺から見てもとても美しかった。花のような甘い香りのする真っ白な肌、絹糸のような水色の長い髪に覆われた柔和な顔に眼鏡をかけたそのエルフは魔法使いだという。師匠に見いだされるまで、俺は自分に魔法の素質があるなんて知らなかった。気配を消して野獣などに近づいて狩るのが得意なので、どちらかというと狩人か暗殺者の素質があると言われていた。
「うるっせえ、ババア。窓くらい開けてたっていいだろうが。あんたのその花みたいな匂いでむせちまうんだよ」
「またそんな口をきいて。なりませんよ。それに私は男だとあなたも知ってるでしょう。ババアだなど。なりませんなりません」
ババア……、ラムフェル師匠はむちむちとした太股をぷるぷると振るわせ、ぷりぷりと怒って説教をしてくる。俺は目のやり場に困ってまた窓の外に視線をやった。体温の上がった頬に夜風が気持ちいい。俺が説教を聞く気がないのがわかると、師匠は二つ並んだベッドの片方にやれやれなどと言いながら寝転んでくつろぎ始めてしまう。でかいケツがこっちを向いて存在を主張していた。
(この……改めてなんて格好してやがるんだこのクソババアは~っ……)
初めて師匠に会った時、俺はこの男を女エルフだと思っていた。外見から受ける印象が柔らかく美しいのもそうなのだが、その装いも俺が性別を間違えた原因にかなりの割合で寄与していた。上半身はきっちりと首まで着込んでいるのに、下半身の露出度がすごいのだ。師匠は薄布でできた長いスカートのようなものを下に穿いているのだが、腰骨まで見えてしまうレベルの切れ込みが両側に入っており、ちょっと走りでもしたら太腿が丸出しになってしまう。このデザインの服だったら例え女だったとしても下にもう一枚穿くだろうというシロモノ。
当然村に突然現れて、勇者の素質のある弟子を求めた師匠を目にした者は全員その装いに困惑したし、デリカシーのないタイプの村人は素直に「なんでそんな露出狂のような服をしているのか」と聞きすらした。しかし涼しい顔で「エルフはみんなこれが普段着ですが、何か?」と返されてしまっては、村の外のことをろくに知らない俺たちはそうなんだ、と思うしかなかった。のちに俺は師匠に連れられて村の外に出て他のエルフを目にするチャンスを得たのだが、どのエルフもこんな常軌を逸した格好などしていなかったし、師匠を見て普通にドン引きしていた。なんでこんな意味のない嘘つくんだこのババアは。
「……くそ」
別に、ババアの服の趣味がおかしいのはもう仕方ないし、奴が熟練の魔法使いで、俺の師匠であることは揺るがない。だが俺は最近弱り果てていた。いつからか、俺はババアのそのスリットから覗くむちむちの太腿やデカいケツを見るとムラムラしてくるようになっていたのだ。
男にムラムラすることは別に問題じゃない。俺の村じゃ男同士でまぐわうこともよくあることだった。村を出る時、仲のいい男友達はみんな「あんなのと旅できるとか最高だろ……」と羨んだものだ。だが俺は自分がスケベだと表明するのも嫌だったので「別に……」とだけ返したし、そんなに幸運だとは思わなかった。俺は師匠をその時から「ババア」と呼んでつっけんどんに接し続けている。いるのだが……。
「んー……」
疲れていたのだろうか。師匠はうたた寝をしていたようだった。その時、窓から吹き込んできた風が、丸いケツの上に張り付いていた薄布をふわりとめくった。
「!!!????!????」
それを見た俺は大声を出しそうになって、ぐっと我慢した。めくられた布の下に、なにもつけていない生尻があるのを見てしまったからだ。
(ば……バッ、バア~!!!!!! なんで……なんで何も穿いてやがらねえんだあ~っ!!!)
あまりのことに俺は面食らう。アンニュイに窓の外を眺めていた時の落ち着きはどこへやら。陶器でできてるんじゃないかと思うくらい白くつやつやの尻に目が釘付けになってしまう。陶器でできているわけはない生きているエルフの尻なので、寝息に合わせてほんのりと動いていた。俺はそれを見ているだけで、己の一物が固くズボンの前を持ちあげるのがわかる。口の中に変な唾がじわっと湧き、それを飲み下したゴクリという音が頭の中にいやに響いて俺はその音で師匠が起きてしまうのではないかと冷や汗をかく。
俺は何をしようとしているのだろう。師匠のその艶やかな尻に手を伸ばしかけている自分に気が付き、はあはあと息が荒くなった。
(ちょっと……ちょっと触るだけなら起きないよな……?)
自分はもうおかしくなっているのかもしれない。重たい花の香りが鼻から入って頭をくらくらさせる。その香りは手の先にあるケツの奥から強く薫っていると、俺はすでに気が付いていた。頭がどくどくと沸騰しそうになる。鼻血が出そうだ。そろそろと伸ばした指に触れた白い尻は、ちょんと触れた次の瞬間まるで吸い付くように俺の手のひらに収まっていた。
(う、うおおおおおおおおっ……!!!! な、なんて柔らかいんだ……っ、これが本当に男のケツか? エルフってのはみんなこうなのか? それともこのババアがおかしいのか? どっちでもいい、もっと、もっと触りたいっ……!!)
気が付けば、俺は両手で師匠のケツを揉みしだいていた。乱暴にして起きたら大変なのではじめはそっと、起きないのを確認するとより大胆に手の中で形を変えさせる。マッサージのようにむに、むに、と力を入れると、気持ちいのか師匠は艶のある柔らかいあの声でんふぅ……と呻いた。
「はあ……はあ……ごくり……」
親指でケツを割り開くと、その奥に馬鹿馬鹿しいほど罪のない色をした穴が息づいていた。ちょっとぷっくりとしているような気がするが、俺はそんなに男同士の経験が豊富なわけではないのでそれが普通なのかどうなのかわからない。ただ、そのふっくらと潤びた肉穴が呼吸に合わせてぴくぴくと震える様子はたまらなくエロく感じた。
俺は師匠のケツの割れ目に顔を近づける。花の香りが濃くなった。なんだってこんなにいい匂いがするのだろう。エルフは野花でケツを拭く習慣でもあるのだろうか。
「はぶっ! ぢゅるるるるっ!!!」
師匠が目覚めないのをいいことに、俺は目の前のケツ穴に思いっきり舌を這わせて吸い付いた。
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