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第4話 男らしい?
「でもまあ、振られた件は、しょうがねーから、とっとと忘れて、高校、次の恋に行けよな?」
「当たり前だし!」
「亮介のことは驚きはしたけど。まあ、すげえ仲良かったのも、好きだったのかと思うと、分かる気はする」
「でも、一目惚れ……」
「だからさ、亮介も言ってたんだろ、別に顔だけじゃないって。最初にそれが出ちまっただけだろ」
そう言われて、オレは少し黙る。分かってるよ、オレだって。自分でも、ほんとに亮介が顔だけで言ったとは、思ってはないんだけど、でもやっぱりさ。
それを一番に出してくるのが、やっぱり嫌なんだよ。
ずっと一緒にいる中で、好きになったって言ってくれてたら全然違ったかもしれない。
「そういや、言ってなかったんだけど、オレ、お前のこと、結構男らしいって思ってるから」
「え? そうなの? どこが?」
あったっけ、男らしいとこ。不思議に思って首を傾げると、尊がため息をついた。
「お前、そうやって首を傾げんのやめろ」
「え?」
「それ、可愛いって思う男、絶対居るから」
「――えっまさか、尊も?!」
言った瞬間、ベッドのクッションを投げつけられて、顔に埋まる。
「オレにとってのお前はそういう対象では、絶対ないし、そういう対象には、絶対しない」
「なんだよそれ」
「一生このまんまがいいってこと」
「……うん。オレも」
へへ、と嬉しくなって笑うと、ちょっと呆れた顔で、尊は笑った。
「なんでオレが男らしいの?」
「お前が彼女に三日で振られた時さ」
「四日だもん。金土日月」
「金曜の放課後に告って、月曜の休み時間だろ? なんなら、中二日じゃん」
「ああもう、うるさいな! で、何?」
「だから、振られた時、皆に「初デートで何したんだよ」ってからかわれてただろ? さんざんいじられてたのに、ほんとのこと、言わなかった」
「だって、可愛いって言われたとか言いたくないし」
「それもあるだろうけど――あの子が、言わなかったからだろ? その話がもし流れたら、あの子、「彼氏の方が可愛い」って言われた子になっちゃうもんな」
「……だって、あの子可愛いのにさ。そんなの絶対、言える訳ないじゃん」
「だからさ。さんざんいじられて、何か変なことしたんじゃ、とか言われても、なんも弁解しなかったの。ちゃんと男だな、と思ってたよ」
「えー。たけるー」
そんなこと思っててくれたのは初耳!
うる、と潤みそうになった瞳。その瞬間、ぴん、と額を弾かれた。
「いった……!」
「お前に、いくつか言いに来たんだよ、オレは」
「えー、何?」
額をこすりながら、尊を見ると、指を立てられた。
「まずひとつ! 男を間近で見つめんな。目をウルウルさせんな。勘違いさせるから」
「えっ」
「ふたつ。強気で話してろ。可愛いとか、思われないように」
「あ、うん」
「お前は、顔がおばちゃんに似すぎてるだけで、中身は男なんだからさ。その内、背も伸びれば、女子に間違われることも無くなっていくと思うから、それまで頑張れよな」
「あ、はい」
「もうひとつ。可愛いとか、一目惚れっつーのも。誉め言葉だと思ってる奴らも多いから。いちいち、反応すんな」
「……うん」
「――って、言いに来たんだよ。明日からの高校生活に備えて」
ふ、と笑う尊に、オレは、言われた言葉を考えながら、うん、と頷いた。
「分かった。……ありがと」
「おう。じゃあゲームやろうぜ。こないだの続き」
「うん! いーよー」
それからは、尊と楽しくゲーム三昧だった。
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