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足元注意!触手型モンスター

 「セス、行ってくるよ。ジルも、見張りサボるなよ!」  勇者アルノ率いるパーティは、洞窟の奥地に巣食うモンスターを狩りにやってきた。  多くの戦士たちは、ギルドに集まる困りごとを解決し、日銭を稼いで暮らしている。  人気者の勇者アルノ、高潔な神官ナディル、沈黙の黒魔術師ジル、そして――今日も笑顔の魔剣士セス。  彼らもまた、ギルドに所属する戦士であり、任務をこなす労働者だった。    大昔は、魔王軍との戦いが激化したこともあったが、今や魔国との関係は安定し、モンスターはちょっと面倒な害獣みたいなものだった。  魔剣士セスは、陽光の差す洞窟の入口で伸びをしている。  細く弓なりの眉は快活で、人懐っこい垂れ目と小さなオリーブブラウンの瞳が印象的だ。  若草色の髪はゆるくウェーブし、伸びた襟足が汗をかいた首筋に張り付く。  健康的に日焼けした肌と上背のある引き締まった体。  革鎧の隙間から覗く鎖骨の線に、魔術師のジルは毎度のことながら視線が釘付けになる。  (……今日も笑顔が可愛いな)  厳しい戦場でも笑みを絶やさないその横顔を、ジルは誰より近くで見てきた。  だからこそ、本人に気づかれないようフードを目深に被り息を殺して盗み見る。  「見張りかぁ、俺待ってるの疲れちまうんだよ。ジルは平気か?」  セスが振り返って笑う。  「別に」  「別にって。ほんと口下手だな、ジルは。でも、いつも返事してくれるよな」  「うるさい」  口数は少なくても、ジルの心の中は騒がしい。  セスは不愛想な自分に懲りずに話しかけてくれる。  誰にでも優しいのは分かっていながらも、ジルにとってセスは特別な存在だった。  そんな平和な森の午後――。  ふとセスの言葉が途切れ、鳥のさえずりが聞こえる。  「……わり、ちょっとトイレ!その辺で済ませてくるわ」  セスが肩を竦めて茂みに消えた。  その背中が見えなくなって、三十秒も経たないうちに悲鳴が上がる。  「わっ!? ちょ、うおおおおい!」  焦りを含んだ声音に、ジルは反射的に駆け出した。  「セス!」  「お、おうジル。いやー、油断してた。こんなところにいるとはな」  セスは肉色の地面に尻もちをついた状態でこちらを見上げていた。  地面の窪みを埋めるほどの大きな触手型モンスターだ。  革のブーツを履いた足元には、腕ほどの太さの触手が絡みついている。  おそらく、蟻地獄のように転げ落ちた野生動物などを捕食するのだろう。  「大した事ない。自分で出られるから、ジルは見張りに戻っててくれ」  陽の高い日中はモンスターの動きが大人しい。  この触手も例に漏れず、セスを縛り付けることなく、緩慢な動作で肢体を撫でているだけだった。  ――恨めしい。  ついぞ触れたことがない美しいセスの体を無遠慮に触れやがって。  ぬらぬらと粘液の跡を残しながら這う触手に嫉妬の感情が暗く燃える。  「……ん?」  ふいにセスが困惑の声をこぼし、笑顔を引きつらせる。  「……どうした。怪我したのか」  いつもは軽い身のこなしで技を繰り出すセスだが、妙に抜けているところがある。  (怪我をしたなら手当しなければ。これで合法的にセスに触れられる……!)  そう期待に胸を膨らませるジルだったが、座り込んだままのセスに違和感を覚える。  「腰が抜けちまったみたいで、立てねぇんだ」  「……這って出れば」  「腕もちょっとしか動かねぇ」  「……それ、麻痺毒なんじゃないか」    ぬめる粘液は薄い紫色をしており、セスの衣服を濡らしている。  日中捕まえた獲物を麻痺させ、活発になった夜に捕食する。  よくできた生態だなと感心した。  「まじかよ……あとでナディルに治してもらうか。怒られるだろうなー」  神官のナディルは生真面目で怒りっぽい性格だ。  日が暮れるまで小言を言われしょぼくれた顔をするセスを想像し、ジルは心の中で悶えた。  「おーい、ジル。とりあえず引き上げてくれよ」  セスは照れ笑いしてジルに呼びかける。  パーティ最年長の彼は周りに甘えるのが苦手で、いつも困ったような顔で頼み事をする。  その様子もまた、ジルの恋心を擽るツボだった。  「……いやだ」  「……え?」  「油断したセスが悪い。そこで反省してろ」  「いやいや、ちょ、ジル!?放っといたら危ないだろ!」    いたずら心に火がついて、健気な頼みを却下する。  慌てふためく顔も可愛い。  しばらく眺めて、勇者たちが帰るまでに助けよう。  ジルはそう決めると、セスがよく見える位置で腰を下ろした。  「なあ、ジル……どうしていじわるするんだ」  上目遣いで問われると、胸が高鳴って苦しい。  「……セスがバカだから」  「う、すまん。頼りない年上で情けねぇ――んん?」  セスの垂れた目尻がピクリと動いた。  オリーブの眼差しが下肢に注がれる。  相変わらず触手はもぞもぞとセスの体を撫でていた。  「……どうした」  「……い、いや、なんでも……な、いッ」  明らかに様子がおかしい。  よく観察してみると、細い触手が服の中に入り込んでいる。  布地が波打つように蠢いているのが見えた。    嫉妬の感情を認識する前に、とある言葉が脳裏に浮かぶ。  ――これが、ラッキースケベというやつか!    目深に被ったフードの下で、目を皿のようにしてセスを見つめる。  触手はセスのズボンの中に入り込み、股座を這い回っているようだった。  セスは顔を赤らめて、困ったように笑う。  「な、ジル……ほんとに、頼むからっ」    あまりの視覚の刺激に息が苦しくなる。  しばらくはオカズに困らないだろう。  胸の内を仕舞い込んで、平気な声色を作る。  「……反省した?」  「はん、せいっ……したぁ!……ンひっ……!」  セスの声が上擦り、上がったままの口角が震える。  この麻痺毒は筋肉を弛緩させるが、触覚は残しているようだ。  触手に敏感な箇所を擦られ、体が微かに震えている。  「セス、顔赤いよ。どうかした?」  これは我ながらいじわるな質問だと思う。  自分の状態を説明させたら、羞恥で歪む顔が見れるだろう。  しかし、きっとセスはそうしない。  笑顔を引きつらせたセスは、口をはくはく動かし、震える喉で声を絞り出す。    「――なんでも、ない……っ」  セスは周りに頼るのが下手くそで、特に年下にはカッコ悪いところを見せたがらない。  触手に捕まって陰部を弄られているなど、口が裂けても言わないと分かっていた。  「そう、じゃあ反省するまでそのままね」  うっかり笑いが込み上げそうになるのを抑え込む。  「なんで、ジル……!反省したってぇ……ぁふっ……ほんと、にぃ……っ」  耳をそばだてると、衣服越しに水音が聴こえる。  見えないことで、ジルの妄想が掻き立てられていく。  (股のとこが動いてる……あそこ、しごかれてるのかな。必死に声を抑えてるけど、全然隠せてない……バカで可愛い)  思わず、ふひ、と笑みが溢れた。  「ジル、ふざけてないで……っ!ほんとにヤバ……ぁひっ!♡」  セスの声が1トーン高くなる。  額から汗が流れ、悩まし気に刻まれた皺を伝って流れていく。  眉尻は下がって色っぽい。  「あ、あ、あっ……♡やだぁ……ジル、もぉっ……ダメだってぇ……っ!」  目線が定まらず宙をさまよう。  開いた唇からは緩んだ舌先が覗いている。    「セス、大丈夫?」  素知らぬ顔して尋ねるも、セスの耳には届いていないようだ。  「ジル、もどってぇ……♡みはり、もどって……イィっからぁ♡あ、あぁ……っ!おれ、あとからっ――イく、イくッ!!♡♡」  カクンッと細い顎がのけぞる。  太い触手に割り開かれた脚の合間が、内側から濡れて色を濃くする。  自分の生唾を飲む音がやけに大きく聞こえた。  (うわ、イった!触手にちんぽ弄られて、俺の前で射精した……!♡)  セスはへらりと笑ったまま、顔の筋肉を強張らせ固まっていた。  小さく痙攣する口元から唾液が溢れる。  あの震える舌を吸ったら、どんな反応をするだろう。  ジルの欲望は膨れ上がっていく。  「……一人にしていいの?心配だな」  「ィ、いい……よ♡ひとりで、なんっ、とか……できる、ぅ"♡」  息も絶え絶えな様子だが、それでも意地を張りたいらしい。  仲間に見られながら射精したくせに、と口の中で呟く。  普段とはあまりにも異なるセスのいやらしい姿に、ジルの視線は釘付けだった。  精の匂いを嗅ぎつけたのか、セスの体を這っていた触手より一回り太いそれらが、服の上から局部を揉むように動いた。  うねうねと蠢くたびに摩擦した水音が響く。  すると、触手が撫でた箇所が、肌色に変わっていった。  「え……服が溶けてる」  ちょうど陰部だけが森の冷たい空気に晒される。  吐精したばかりの白濁に濡れたセスの陰茎は、半勃ちの状態で触手に絡まれていた。  しかし、快感に酩酊しているセスは秘密の露呈に気づかない。  目線は彷徨い、笑みの形を保とうとして目元は引き攣っている。  「ぅ、ひん……ッ♡だい、じょーぶ♡らからぁ……っ♡」  短い息を吐きながら、わずかに動く手を腰に差した剣にのばす。  しかし、その寸前で太い触手が臀部の奥へ潜った。  「――ひいい!やだ、やだ……っ、ほんとにダメ……っ!」  弱々しく首を振るが、体に絡みついた触手が脱力したセスを離さない。  「うそ、ぁ、はいって……」  弛緩しきった下肢は従順に触手を受け入れる。  押し広げられる後孔の感覚に、セスは背筋をわずかにくねらせ身悶えた。  「あ"ぁ"……っ♡なんれ、やら"ぁ"♡」  (セス、処女を触手に奪われちゃった……?処女アナルで感じてるなんて、可哀想♡)  セスの視線が落ちる寸前、ジルはセスに向かって呼びかけた。  「セス、セス!俺、見張りに戻った方がいい?」  「んえ……っ?だめ、いや、ちが……っふう"♡い、いよ……♡あ"ぐッ!だめぇ♡うごいちゃ……お"ぉ"♡」  セスの胎内に入った触手は、ぬちょぬちょと音を立てながら出入りしている。  手首ほどの太さがあるものだったが、麻痺毒と粘液でスムーズに律動している。  セスは体を拘束する触手たちに操られるまま脚を開き、犯される尻穴を曝け出す。  「……動いちゃダメか。分かった、見張りには戻らないよ」  「い"や"あ"♡ちが、う"ぅ"……っ!お"あ……イイ♡ひぎっイイの"ぉ"……!♡みはりぃ、イってぇ……ッ♡♡」  触手の動きが早くなり、セスの身体が不随意に跳ね始める。  快感に支配されたセスの脳は、ジルにバレていないと錯覚したまま、悦楽の波に飲まれてしまう。  扇情的な微笑みを浮かべ、イイ♡と叫ぶ姿は、ジルの理性を一片も残らず吹き飛ばした。 (喘ぎ声でか♡触手ちんぽで感じすぎだろ……好きな人が淫乱だとか、ショックでちんぽガチガチだわ♡)  「イイんだね?……変態さん♡」  もはや喜色を隠すことなく、詰るようにセスへ声をかける。  長いローブの裾の中で、ジルの逸物ははち切れんばかりに脈打っていた。  「お"♡ほお"……っ♡♡ぁに……?♡♡んぎッ♡イイ、イイから"……♡じるぅ♡はやく、イって!あ"ふ♡イイから♡はやくぅ"……!♡♡」  触手のピストンは早くなり、セスの下肢を忙しなく揺らす。  芯を失った陰茎が情けなく振り回されている。  シワの伸びた蕾からは粘液が飛沫となって吹き出し、挿入された太い触手を健気に飲み込む。  ごちゅ!ごちゅ!ぬぷ!ぬぷ!  交わる音は森の中を甘い匂いを纏って響く。  セスの震えの間隔が短く、揺れが大きくなっていく。  絶頂が近いのだろう、もはやセスの瞳は何も捉えることができず、揺れる視界をただ写しているだけだった。  「あ"あ"あ"ッ♡♡はらやぶれるっ!♡むり、むりぃ♡またイグッ♡イグイグ♡♡お"お"お"〜〜ッ……♡♡」  雄叫びとともに一際強く全身が跳ねる。  息が詰まったような音の後、胎内を埋めていた触手がずるりと後孔から抜ける。  ぽっかり口を開けたまま戦慄く肛門は、もはや性器にしか見えない。  ジルが一歩踏み出そうとしたときだった。  「ん"お"……♡ふ、う"〜〜……っ♡♡」  縮こまっていたセスの陰茎から、勢いのない尿が漏れた。  次第にじょろじょろと音が立ち、触手で出来たら地面に黄味がかった水溜まりを作る。  ――そうか、セスはトイレに行くと言っていた。  妙に納得した気持ちと、新たな性癖が刻まれた衝撃でしばし立ち尽くす。  装束の中で、ジルの熱は暴発していた。  賢者のような冷静さが脳に帰ってくる。  くそが。  ジルが手早く詠唱し、風刃を走らせる。  触手が裂け、モンスターは悲鳴のような音を立てて霧散した。  残ったのは、汁だくで地面にへたりこんだセス。  革鎧が乱れ、布地は一部溶けている。  はっ♡はっ♡と甘い息を吐いて、意識が朦朧としている。  状態異常を引き起こしているようだ。  「……ナディルに何て言おう……」  このまま放っておいても回復しないだろう。  あの怒りっぽい神官をどう説得したらいい。  (セスはもう記憶が曖昧だろうし、ちょっとぐらい……)  指先がセスのシャツを分けようとしたとき、遠くから勇者の声が聞こえた。  「おーい、セス!ジル!戻ったぞー」  のんきな声に殺意を覚えつつ、自分の邪心に蓋をする。  こんなふうに触れてはダメだ。  セスに求めてもらえなきゃ意味がない。  「……じ、るぅ♡いい、よ♡おれ、も、らいじょーぶ♡♡」  焦点の合わないセスの瞳がへらりと細くなり、甘ったるい声が脳を侵食する。  (ラッキースケベにも限度があるだろ……!)  ローブを脱いでセスの体をぐるぐる巻きにする。  俵のように担ぎ上げると、神官もいるだろう勇者の元へ駆け出す。  煩悩を振り切るように、日向を目指した。

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