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第22話
「椿の花言葉って冬馬は知ってる?」
誕生日のその夜に椿と一緒に窓から椿の木とその花を見ていた。
「ごめん、僕知らない」
僕は正直に答えた。
すると椿はにっこり笑って『女の子じゃないんだから知らなくて当たり前なんだけど』と笑ってくれた。
「……『控えめな恋』とか『ひとときの恋』だよ、俺はその通り『控えめでひとときの恋』でも幸せだったんだよ」
椿は花のように優しく笑った。
月明かりに照らさせて、椿の花よりとても艶やかで静かで綺麗だった。
こんな椿を僕のあんなに軽い『罰』で人間に出来て良かったと僕は思う。
「僕の初恋をひとときにしないでよ」
と、僕は椿には擦り寄った。
こんな幸せを、椿の花言葉のような『ひととき』にしなくない。
花言葉なんて僕にはに似合わないし、僕はこの恋を『ひととき』にするつもりなんてないからね?
これからもずっと一緒だよ、椿。
完
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