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第21話
「冬馬に椿、誕生日おめでとう」
「もう冬馬も十五歳なのね。早いわ」
十二月十日は僕の十五回目の誕生日。
そして何故か椿の誕生日にも神様は設定していたらしい。
僕はにこにこと笑ってみせた。
「ありがとう、父さん母さん」
「……ありがとう」
僕は満面の笑顔でそう言うと母さんはクスクス笑った。
「でも冬馬が昨日の夜『誕生日プレゼントはお兄ちゃんと一緒に東京に行くことがいい』って言うものだからビックリしたわ」
「冬馬のブラコンはここまでだったとはな」
父さんと母さんは微笑ましそうに笑っていた。
椿はもう苦笑いだった。
椿は設定では来年大学生らしい。
『だったら一緒に東京に行けるように試してみようよ。僕の家はみんな弁護士になるんだから、椿もだよね』
と半ば椿を脅した。
『俺はそんな勉強なんてしてないから無理だ!!』
『大丈夫、僕が寝静まった頃に、パソコン使ってネット検索も出来たんだもん』
僕はにこにこと笑ったら、椿は溜め息をついて了承してくれた。
晴れて来年一緒にアパート暮らしに変更になった。
この十四年の僕の誕生日、楽しかったことはなんとなく覚えてるけど、それは椿のおかげだったことが分かった。
そして十五歳の誕生日は、今までの中で一番の思い出に残る誕生日になった。
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