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第20話

僕はゆっくりと目を開けた。 すると見慣れているはずの僕の部屋に、もうひとつの机とベッドがあった。 そして僕のベッドの横には人としての椿の姿があった。 「……あれ?あの光が神様なわけないよね、僕は夢を見たんだ」 僕はそう言ってベッドに横たわったけど、椿はムッとした表情で僕を見た。 「冬馬、何故あんなことをした」 「あんなこと?」 「あんなに嫌がってた東京に進学するって。どういうつもりなんだ」 ああ、やっぱりあれは本当に起きたことなんだ。 あの光は本当に神様だったんだ。 僕は伸びをしながら思ったことを言葉にした。 「神様はムカツクね。……でもいいじゃん、椿は枯れないし、植物の椿は人間になったんだから」 「よくない。もし冬馬が東京に行くならこの家で静かに枯れるのを待とうと思っていた。なのに枯れない上に人間になれてしまった。冬馬と遠距離恋愛なんて不可能だ!!」 まぁ、確かにあんな気持ちが良いエッチを覚えちゃったから、自慰で疼きが取れるかは分からないよね。 「だったら父さんと母さんに伝えて実現したいことを変えたら良いんじゃないかな?」 「どういう意味か俺には理解が困難だけど」 僕の提案に椿は分からなかったようで、首を傾げた。 これは僕としてはかなりの良い提案だと思うんだ!! 今日は十二月九日の十八時過ぎ、そろそろ父さんと母さんが仕事を終えて帰ってくる時間帯だった。

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