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蛇足
以下、
「VRゲームの中なんだから、ゲームの提供が終わったら二人はどうなるの?」と気になってしまう読者様方への裏設定話となりますので、本編外のお話となります。
完全に蛇足なので、ご興味ある方だけどうぞ。
***
そのゲームシナリオライターは、異世界を覗き見る能力を生まれながらにして持っていた。
小さな頃には自分の見たモノを得意気に両親に話して「妄想癖があるのではないか」と心配された。
彼は成長するにつれてその能力を隠す様になったが、シナリオライターにとってはこれ以上便利な能力はない。
ファンタジー小説家になるかシナリオライターになるか悩んで 、彼は会社勤めを選んだ。
仕事は順調で、会社が力を入れているVRゲームのシナリオも任されるようになった。
一旦世界観を練ったタイミングで、彼はとある異世界を覗き見た。
「やけに承認欲求の強い神様の世界かぁ……」
その世界は、とても小さな世界。
神様が望むのは、常に慕われる事と、小さな願い事を叶える事。
小さな世界の小さな村で育った子供は一人だけ選ばれて、神様を崇め奉る役目を担う。
神様に愛されたその子供は、祭壇から遠く離れる事が出来なくなる代わりに、飢えや震災から守られていた。
「ん~、隠しイベントで使えそうかな」
ゲームクリエイターは、彼が見た世界をVRゲームに組み込んだ。
小さな世界の神様が、そのVRゲームを媒体として、この世界と繋がるなんて事を想像もせずに。
***
その小さな世界の神様は、愛する子供の願いを叶えたかった。
彼の望みは、「伴侶が欲しい」。
「誰にしよっかなぁ~」
神様は、自分の小さな世界で始めは探した。
けれども、なかなか愛する子供にふさわしいと思える者はいなかった。
愛する子供の伴侶の資格があるのはただひとつ、欲の種がなく、愛する子供に寄り添える人間だ。
祭壇に祈れば願いが叶う、と知れば、普通の人間ならばその欲はどんどん膨らんでいく。
欲の種を持たなければ、質素で慎ましく、せいぜい今の生活が便利になれば良いくらいの願いしかもたない。
せっせと愛する子供の伴侶探しをする中、神様はとある人間に目をつけた。
「あれ、珍しい。異世界のあの子、あんな欲まみれの世界から来てるのに欲の種が見当たらないわ。……あら、あっちに居場所がないならこっちに来て貰っちゃおうかしら……?」
その人間は、欲の種がないという事で小さな頃はよくても成長と共に周りから浮いて馴染めずにいるようだった。
逆に、愛する子供とはとても相性が良い気がする。
一応欲まみれの世界の神様に確認したら、二つ返事でOKが貰えた。
「じゃあ、転移させちゃおっと♪ いらっしゃ~い、私の小さな世界へ!」
小さな世界の神様は、愛する子供に一人の伴侶をプレゼントした。
愛する子供はとても喜んで、そのプレゼントを愛し一生添い遂げたのだった。
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