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第16話 【トルス視点】俺の理性など無力だ
割れ目の上の方だけを割り開き、顔を近づけてしっかり確認したが跡なんてない。
「あんっ」
指でつうっと押してみたら、ローグの悩ましい声は聞こえたものの、今後成長しそうなしっぽのあとも感じ取れなかった。完璧だ。
「心配ない。本当に大丈夫だ」
ホッとして離れようとした途端、急にローグが起き上がり俺の腕を引っ張った。
「うわっ!?」
大仕事を終えて油断し切っていた俺は、呆気なくローグへと倒れ込む。とっさにローグを潰さないようにベッド手をついて体を支えたが、ローグが抱きついてきて下へ引っ張るから、結局は耐えきれずにベッドの上で抱き合う形になってしまった。
「勃ってる」
ローグに指摘され、俺はローグから早く離れようともがく。
これは仕方ない。仕方ないんだ……!
けれどローグがぎゅっと抱きついたまま離してくれない。あろう事か俺の勃ちあがったブツに、腰を擦りつけてきた。
……あ、ローグも、勃ってる……?
「分かったでしょ。僕ももうこんなになってるんだから」
驚きでコクコクと頷くことしかできない。そんな俺に、ローグは可愛く唇を尖らせて言った。
「チューして、僕のお尻触って、こんなにココをおっきくしてるのに、なんで抱いてくれないんだよ。意気地なし。せっかく人の姿に戻ったのに」
「だ……抱くって、そんな。今日思いを確かめあったばかりなのに」
「確かめあったんだからいいでしょ」
「心の準備が」
「トルスの心の準備ができるの待ってたら、お爺ちゃんになっちゃいそう」
さすがにそれはないだろ、と思ったらローグが勃ったアソコを的確に俺の中心にぶつけてくる。ローグは素っ裸だし、俺は薄っぺらい部屋着しか身に付けていない。隔てるものが少ないだけに、刺激が直接的で、俺のブツは完勃ちしてしまった。
「あ……ん、気持ちいい……」
ゆっくり上下に揺れながら、ローグが蕩けた顔で呟く。オレを見上げるトロンとした目も、うっすらと赤らんだ頬も、吐息が漏れる薄く開いた唇も…… 視覚の暴力が凄い。
すべてが俺を誘っているように見える。
あの日あんなに不安げに俺の服の袖を掴んでいたローグが、俺の体を使って自ら快感を得ているのかと思うとたまらない気持ちだった。
「ばばばバカ、そんなにされたら歯止めが効かなくなる……!」
「歯止めなんていらないったら。いいからもう……抱いてくれ」
「……っ」
俺の理性など、ローグの誘惑の前では無力だ。
「ローグ、好きだ……っ」
「僕も!」
我慢出来なくなって、俺はローグのぷっくりした柔らかい唇に吸い付いた。
やっとトルスが自らの意思で僕の唇を吸ってくれて、僕は震えた。
ずっと塩対応だったからトルスは僕のこと好きじゃないんだと思ってたんだ。でも、違った。トルスも僕のこと好きでいてくれるんなら遠慮なんかいらないし、トルスが躊躇したりしない確固たる恋人としての位置を確立してしまいたい。
こんなチャンス、また巡ってくるのはきっとだいぶ先になる。
絶対に今日、体の関係まで持ち込んでトルスが逃げたり迷ったりしないで、安心して僕とラブラブいちゃいちゃできるところまで持っていくんだ!
そう決意を固めていた僕は、トルスが僕の唇を遠慮がちにチュ、チュと吸ってくれるのをしばらく受け止めたあと、唇を少し開いて濡れた唇の温度が伝わるように押しつけた。
「ん……ふ、んぅ……」
悩ましい声をあえておさえずに出していく。握っていたトルスの手をさりげなく僕の胸に導いたら、トルスの手は意外にもすんなりと僕の肌の上を滑り始めた。
大きくて暖かい手が羽根が触れるかのような繊細さで僕の肌を撫でていく。
自分から求めたというのに、いざトルスの手や唇が意思を持って動き始めると、とたんに羞恥を感じ始めた。……だって、僕だってこんなことするの、初めてだから。
今まではトルスになんとか触れてほしくて頭がいっぱいだったから、グイグイ押せ押せって躍起になってたけど、僕だって恥じらう乙女的心は持ち合わせてる。
「ああ……ん、ふ……っ」
トルスの舌が僕の唇を割り開き、口内を犯し始めると同時に、暖かな指先が僕の小さな粒に僅かに触れて、背中にゾワリと快感が走る。甘い声を上げながら身を捩ったら、僕のカチカチになった陰茎がトルスの逸物を擦ってしまった。
「ん……っ、さっきから、随分と直接的に煽ってくるんだな」
僕の唇を解放して、トルスが男臭く笑う。
「もう我慢できん」
小さくそれだけ呟いて、トルスは僕の胸に顔を埋めた。
「あっ! あ、あ、あ、ああっん!」
乳首周りを舐められ、逆の方は指でさわさわと弄ばれる。
「あ……ああ、あ……すごい、トルスが僕を触ってる……僕、僕、トルスとずっとこうなりたかった」
「俺だって、こんなシーン何回妄想したか分からない」
「本当……?」
嬉しすぎて涙が出る。あの塩対応の裏でそんな風に思ってくれてたなんて、想像も出来なかった。
「もっと触って……トルスと恋人同士なんだって実感したいんだ」
ぎゅっと抱きついたら、トルスもぎゅっと抱きしめてくれた。
「ホントお前、可愛いなぁ……!」
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