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第1話

 楓の全ては、兄に支配される人生だった。  兄は、万人から愛され、顔も良く、その優しい微笑みは誰もが虜になる程に。    皆から愛され、優しい大好きな兄の微笑みがいつの日か憎くなるほど兄は高校生になって変わってしまった。    それは、楓がされていた小学生から中学生まで続いた、いじめが原因だと今思えばそうなのだろう。  最初は物が消えたり陰口を言われる程度だった。  その次は、閉じ込められたり階段から落とされたり。そんないじめは日に日にエスカレートし暴力的なのもに変化していった。  それでも誰かに助けを求めた所で変わる事は無かった。  先生も楓のホラ話と嘲笑い、痣を見て転んだと言われ誰も楓の話を聞かない、いじめの事を言うと先生は〝楓くんはどうしてそんな嘘をつくの〟と信じてくれい。それにチクったといじめが悪化するだけだった。。    放課後、教室のゴミ箱、校庭に隠された荷物を拾い集めながら何度も「どうして、俺なんだ」と中学生の楓は呟いた。    理由なんて、きっと無かったんだろう。  ただそこに楓が居たから、それだけで理由はなく誰でも良かったんだろう  けどそんな地獄を超える出来事は学校で、回されたのがきっかけだったと言えるだろう。    着ていた、中学生の制服は破れ、煤まみれでボタンが飛び、精子の独特の臭いがひどい状態で家に帰ったそんな寒い少し早い雪が舞っていた冬の日に、兄はいつもの大切な物を見るような眼差しと違い嫉妬の色を混ぜた青紫色のアイオライト、楓と同じ色の瞳に楓を映した。    その日から咲の優しい微笑みは変わり、ドロドロとした執着を楓に押し付けるようになった。    ————    ——あぁ、またこれか……      ドアが閉まる音は、恐怖で脚が動かなくなる。  きちんと整理されたベットと本棚、バニラとラベンダーの甘い香水の香り、全てが楓には恐怖の対象を思い浮かべる。   「楓、こっちにおいで」    優しい声、けれどその目は笑ってはいなかった。逆らえば、もっと酷い事が待っていると体が知っている。    服を脱ぐように命令をされ、シャツのボタンをゆっくり震える手で外す。   「やだ」なんて、もう何度も言った。けれど、兄の咲は冷たい笑顔で笑って首を横に振る。   「ダメだよ、楓…楓は俺のなんだから」    兄の舌が、鎖骨を這う。  小さな胸に触れる手は、獣の様に熱い。    兄の手が、ズボンの中へ入ってくる。ひくつく肉の奥に指が入り、楓は小さく叫んだ。   「や…ぁっ、あ、あっ……!」    恐怖と快楽で、楓の目尻に涙が溜まる。   「痛い?大丈夫だよ。何度もすれば、気持ちよくなるから」    微笑む兄は慣れた手つきで楓を押し倒し、太腿を開かせた。  自分のズボンを下ろすと、勃った肉を見せつけるように擦りつけてくる。   「まだ、怖い顔してる」      頬を撫でるその手と、太腿を押し開く手の落差に、楓は喉を詰まらせた。  奥へ、奥へと兄の熱が入り込んでくるたび、呼吸が止まりそうになる。 「う、くっ……ぃ……っ、あ、ああっ!」  楓の目から涙がこぼれた。  身体が小さく跳ねるたびに、兄は満足そうに楓の唇を塞ぐ。 「楓は、泣き顔がいちばん可愛いね」  何度も中を擦られ、突き上げられ、意識が白く飛びそうになる。  痛みと痺れ、そして、ぐちゃぐちゃな感情が混ざり合って、息すらまともにできなかった。 「俺と楓はずっと一緒だからね。楓が他の誰かに触れられるなんて…お兄ちゃん…耐えられないから、優しい楓ならお兄ちゃんを一人にしないよね」  いつもより高揚した兄の瞳に見下ろされ腰が何度も打ちつけらる、音が静かな部屋に満ちていく。  何度も何度も兄は楓の中で果て、そしてまた繰り返す。暗い闇と無駄な行為と快楽の夜は終わらなかった。  朝、身体中が痛む楓に、兄は優しく笑って言った。 「もう、離れられないね」  

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