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第38話 ★お礼SS【カーマイン視点】俺がカーマインを抱きたい

【前書き】 ここから先はリバです! 苦手な方はご自衛ください。 笑ってライアがキューを撫でると、キューは嬉しそうにくるくる回った。なんか可愛い。オレにはまだ自動で回復してくれたりしないんだけど、信頼関係が強まればやってくれるのか、それとも主人じゃないとダメなのか、そこんとこは未知数だ。 ライアとキューのお陰でさしたるケガもないまま、探索が続いていく。一気にこれだけ進んで無傷って本当になかなかない事なんだ。嬉しくて、ライアにそのまま気持ちを伝えてみた。 「やっぱライアと一緒だと全然違うんだな。こんな短時間でここまで一気に進めた事なんてねぇよ。ライア、凄いな」 「そう言ってくれるのは嬉しいけど、俺が凄いんじゃなくて、純粋にソロじゃなくなったのが大きいんじゃないかな。連携して一気にダメージを与えられるから、相手に反撃の隙を与えずに倒せるし」 「ああ、それは確かにあるかもな」 一人から二人になった効果はそりゃもちろん一番デカいけど。 「でも一緒なのがライアだからってのがやっぱデカいよ。物理的にもだけど、なんかさ。疲れねぇっつうか、むしろ時間が経つほど元気になるのって久しぶりの感覚だなと思って。こうやって話しながら歩けるのってやっぱ精神的にすごく癒されるんだな。オレ、ダンジョンがこんなに楽しいってちょっと忘れてた」 「カーマイン……!」 「あ、転移ポイント」 「えっ」 「わっ!?」 急に後ろから抱きつかれて、少しだけびっくりした。鎧があたる音がするような勢いで急に抱きつくのは反則だろう。 「ちょうど良かった。今日はもう宿に帰ろう?」 後ろからライアが首筋に顔を埋めてくる。くすぐったいと思ったらチュ、というリップ音がして、ライアが首筋にキスしてるんだと分かる。 「どうしたんだよ、急に。ていうかライア、ダンジョンに入ってからずっと普通に槍での物理攻撃ばっかりだっただろ。オレ、聖魔法って見たことないから、結構楽しみにしてたんだけど」 「まだ物理で倒せる魔物ばっかりだったからな。俺は魔力がそこまで多くないから、無駄遣いしないようにしてたんだ。じゃあ、宿で見せるよ。なぁ、帰ろう?」 いつになく強く主張してくるライアにちょっぴり驚きつつ、結局は転移ポイントでダンジョンをあとにする。連携が久しぶりでもうまくいくか、自分たちの今の実力がどの程度かは大体見極められたから、まぁいいだろう。 宿で防具を脱いで一息つこうとしたら、いきなりライアからベッドに押し倒された。 「うわ、なんだよ急に。そんな気分になっちまったのか?」 ライアが必死な顔で頷く。 「それで帰ろうって言ったのか」 「ごめん」 そんな顔されたら怒れねぇだろ。 「いいけど、せめて風呂くらい入ろうぜ」 「浄化」 淡い光に包まれて、オレは絶句した。そんなに切羽詰まってるのか? オレの上に馬乗りになったまま、ライアが服を脱ぎ捨てる。細身ながらしなやかな筋肉がついたその体は、日の光の下でも綺麗だ。 「今日は俺がカーマインを抱きたい」 オスくさい顔でそんな事言われたら、希望を叶えてやりたくもなる。どこでスイッチ入ったのかわかんねぇけど、ライアがしたいようにすれば良い。 「いいぜ、来いよ」 見上げたまま手を広げたら、ライアが勢いよく抱きついてきた。 「お前、オレに奥まで突かれる度に求められてる気がして嬉しいって言ってただろ。今日はその気分の方、味わってみる」 「好きだ! 好きだ、カーマイン」 噛み付くようにキスされる。 性急で拙いキス。けれどそれが愛おしい。何度も何度も口付けされて、唇を甘噛みされるのに、なぜか中には入ってこない。 「ライア。オレは逃げねぇからさ、ゆっくり恋人のキス、しようぜ」 「……!」 見る間にライアの目に涙が溜まって、ポタポタとオレに降ってくる。ライアがこんなに泣くヤツだなんて知らなかった。これだけ一緒にいても知らない事ってまだまだあるんだな。 震える唇がゆっくりと近づいて来て、唇をむにむにと食んだあとそっとオレの唇を割って中に入ってきた。歓迎のために舌を巻きつけてやったら、驚いたように一瞬出て行って、また恐る恐る入ってくる。 逃げないように顔を寄せ、ライアの頭もぎゅっと引き寄せたら、それに応えるかのように舌が巻きついてくる。ちゅっと吸ってライアの舌の感触を楽しんでいたら「ん……」と甘い声が聞こえて嬉しくなった。 出て行こうとする舌を何度も引き止めて濃厚なキスを交わしたら、ようやくライアも落ち着いた顔になった。 ライアが塔に入るまでは、苦しそうな顔は見た事あっても、泣いた顔なんてほとんど見たことがなかった。せいぜいオレが魔物の強烈な一撃を食らって脳震盪起こして意識飛ばした時くらい。あん時はめちゃくちゃ泣いてたっけ。 それなのに、オレが好きだって言ったあたりから、ライアは急によく泣くようになった。 泣いてる顔もオレにとっては新鮮でいいけど、やっぱりオレの横で安心できて笑ってくれてたほうがいいに決まってる。ライアはまだまだオレの気持ちを完全には信じきれていないみたいだから、オレからライアを求めていく姿勢を見せた方がいいのかも知れない。

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