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眠気

ガラガラガラ 「ねみぃ....」 「登校して早々保健室に来るな」 「眠いから寝る」 「ちょっと!」 保険医の話なんて無視して、ベッドに寝転ぶ。 眠たくてしょうがない。 2時間目始まる前には起こしてと言って眠りについた。 「起きろ」 「んぅ....」 「もうすぐ1時間目終わるぞ。」 「早くね?まだ寝てたい」 「1時間目の途中に来て、遅刻してきた挙句に2時間目も遅刻する気か?」 「はいはい、わかったよ」 「担任には遅刻してきたこと言ったのか?」 「え?言ってないけど」 「俺が変な質問したみたいな顔やめろ、誰にも言わずに保健室に直行したのか....はぁ」 「ため息は幸せが逃げるぞ」 「誰のせいだと!?」 話していると、1時間目の終わりのチャイムがなった。 行きたくないと思いつつ、半ば保健室を追い出されて足取りが重いが教室に向かう。 別に友達がいない訳でも、いじめられてる訳でもない。 ただ授業がめんどくさくて、サボってるだけだ。 保険医は兄の友達で、幼い頃からの知り合いだ。 幼馴染と言っても間違いではないだろう。 歳は結構離れているけれど。 正確に言えば、兄の幼馴染だ。 「おはよう!来てたのか!」 「1時間目の途中に来てた」 「また保健室にいたのか?」 「うん、」 たわいもない話をしていたら先生が来て、チャイムが鳴った。 さっきまで寝てたのに2時間目も眠くてほぼ授業を聞いてなかった。 全然頭に入ってこないけど、まぁ出席してればいいだろ。 そんなことを思いながら、眠気と戦うこともなく、寝た。 チャイムの音で目が覚めた。 もう2時間目終わったのか....と思い起きた。 「めっちゃ寝てたな。もう3時間目終わったぞ?」 「え....?」 まさかの3時間目まで終わっていた。 まぁ、別にいいけど、3時間目の授業がなんだったのかも全然わかんない。 樹李曰く、先生も起こしていたらしいけど俺が起きなかったから諦めたらしい。 起こされた記憶が全くない。 それに2時間ほど寝たと言うのに、まだ寝足りない。 4時間目は体育だった。 正直サボりたかった。 こんな暑いのに体育なんてやりたくない。 汗かきたくないし、めんどくさい。 外も嫌だが、体育館もなんかジメジメしてて気持ち悪い。 夏は嫌いだ。 元から無いやる気がもっと無くなる。 何もしたくなくて、涼しいところで寝てたい。 でも授業を受ける。 受けないと真面目にヤバい。 サボりたいけど、サボりすぎて留年になったらそれこそ行く気力すら失せる。 登校してるだけすごいと思って欲しい。 「あぁ、だるっ」 「がんばろうぜ!」 「暑いのに体育しないといけない理由がわからん」 「暑いのはわかるけど、体育が1番開放感あって楽しくね?」 「そうか?ただ暑いだけじゃん」 「じゃあ、どの教科が1番マシなんだよ?」 「は?全部無理だし」 「なんだそれ笑」 体育は寝れる訳もなく、少々サボりながらなんとか終わった。 今はまだ6月とかでこんなに暑いのに、夏本番はどうなる事やら。 考えたくもない.... 暑いとやる気失せてくるよな.... 涼しい家から出たくない.... 冬は寒いから出たくないけどな 結局いつも家から出たくない 4時間目が終わり、昼休みになった。 みんなが弁当を食べ始める中、俺はいつも通り保健室に行くと伝えて、一旦トイレに行った。 保健室が1番涼しいというか、適度な温度で過ごしやすい。 昼休み始まってすぐ保健室に行くと、飯を食べてないことに勘づかれてしまうので、少し時間を置いて保健室に行く。 前に、昼休みになってすぐ保健室に行って、飯を食わなかったらお腹すいてなくても少しは食べろ、と説教された。 樹李とかと一緒に居ても飯を食わないのか?と質問されるからそれは面倒くさくて、保健室で食べると伝えて、昼休み始まって直ぐに保健室行くふりしてトイレに一時避難する。 お腹すいてたらご飯食べてから保健室行くか、保健室で食べるかするが、お腹減らんから 食欲なんてない。 朝も食べないけど、昼も特に腹は減らない。 夜は腹が減って、忘れてなければ食べる。 もうそろそろいいか.... トイレを出て、保健室に向かった。 ガラガラガラ 「また来たのか」 「ここが1番涼しいから」 「涼みに来るところじゃない」 保険医のことなんて無視して、保健室のソファに座った。 眠気がまだある。 「菖綺(あやき)、」 「ん?」 「今日2時間目から3時間目の終わりまで寝てたらしいな。」 「だから?」 「だから?じゃないだろ。ここで寝てから行ったのにまだ寝足りなかったのか?昨日何時に寝た?」 「ただ眠かっただけだし、授業つまんねぇーから」 「先生が起こしても気づかないほど?」 「そうなんじゃねぇーの?」 少し真剣な顔で見てくる稜生(いつき)に少々緊張しながら答えた。 実は保険医とか先生と呼んだことがない。 保険医の名前は稜生で幼い頃から「稜生」と呼んでいたこともあり、保険医とはいえ、今更「先生」と呼ぶのはなんか恥ずかしいというか違和感があるし、稜生もそう思ってるからなのか、「稜生」と呼んでもあんまり注意しない。 さすがに他の先生たちの前では気をつけろとは言われているのもも、他の先生たちも割と慣れ始める気がする。 稜生は保険医なだけあって、勘が鋭い。 俺の兄貴も勘が鋭かったな。 それは兄弟だからだと思ってたけど、稜生も勘が鋭かった。 「菖綺、そういえば身体測定してなかったよな?」 「身体測定?結構前じゃね?」 身体測定をしたのは4月とかだろ? 確かに、した覚えは無いけど、今更しなくても良くね? それに身体測定ってことは体重も測るんだよな? 最近測ってないから分からねぇけど、体重が減ってたら、さすがに気づかれる?! 稜生に気づかれたら兄貴にも伝わる。 心配かけたくねぇのに、 ! 「なんで今更?別にしなくてもいいだろ。」 「せっかく保健室に来たんだし、やろ。しなくて良くはないんだからな」 「今度でいいだろ?どうせ明日も明後日もくるし」 「いやいや、体調悪くないのに来るな」 今日は無理だ。 明日とかだったらまだ何とかなる。 とにかく今日することを避けなければ! どうにかこうにか言い訳を重ねてみたものの、稜生の意思は揺るがず、急遽身体測定することになった。 俺が駄々こねるから昼休みも終わりに近づいてきて、次授業あるからと言ったが、身体測定をするって先生に伝えとくから5時間目は行かなくてもいいぞ?と教師とは思えないセリフを吐いてきた。教師じゃなくて保険医だが。 「は?そんなこと言っていいのかよッ」 「お前こそいつもサボってるやつが何言ってんだよ」 こうなったらもう逃れられない。 考えても考えてもこの状況から逃げれる方法が思いつかない。 稜生は俺の許可を取らずにもう身体測定をする準備を始めていた。 今のうちに逃げるか?と思ったが、そんな考えは稜生にはお見通しだった。 「逃げるなよ?」 と、圧をかけてきた。 稜生は眼力が強くて、真剣な顔でそう言われると怖くて、足がすくむ。 もし逃げたら....。 稜生は結構容赦ない。 稜生が準備してる間、俺はなにも出来ずにただ座って待っていた。

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