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バレる....!?
身体測定の準備が出来て、まずは身長を計った。
「おぉ、身長伸びてんな。まだ成長期か!」
俺は次の体重測ることの心臓がはち切れんばかりにドクドクして、稜生 が何言ってるのかあんまりわかんなかった。
「じゃあ、次体重な。そこの体重計に乗って....あ、待って!」
「え?」
「その前に、上だけでも脱ぐか?」
「え、なんで?」
「制服で何kgかプラスになるから脱いだ方がいいだろ?」
「嫌だよッ!」
「別に男同士だし、恥ずかしくはないだろ?」
「そういう問題じゃない!」
「どういう問題?まぁ、いいや。じゃあそのまま乗っていいぞ」
制服のせいぜい数kgだけでも足掻けるのなら足掻きたい。
身体測定を全生徒分測ってるんだから制服がだいたい何kgなのかぐらい稜生が知らないわけではないはずなのに....。
「....」
「ん?乗っていいよ?」
「わ、わかってるッ、!」
いざ、体重計を前にすると乗るのが怖かった。
1人だったらそんなこと思わない、というかそもそも体重測ろうなんて思わない。
稜生がすごい見てくるから余計に緊張する。
でももう逃れようがないから、意を決して乗った。
ピピッ
「....おっけー!降りていいよー」
稜生の反応と体重を見るのが怖くて目をつぶっていたら、稜生から降りていいよと言われたので、降りた。
そんなに体重減ってなかったのかな?なんて思いながら、身体測定を普通に続行した。
体重の次は視力と聴力を終え、身体測定が無事(?)に終わった。
授業は残り半分ぐらいある。
授業行かなくていいって言われたから残り半分は寝れる!
と思ったけど、稜生が俺が座ってるソファに椅子ごと寄ってきて、質問を投げてきた。
「最近ご飯食べてる?」
「....食べてる」
「最初の間はなに?今日の朝は何食べた?」
「朝ごはんは食べない」
「あー、そう。」
朝ごはんを食べないのは、昔からだった。
食べないというか、あまり食べなかった。
それに今は朝ごはんを食べてないことは稜生も知ってはいる。
朝、食欲がわかないのは分からなくは無いからその代わり、昼と夜はちゃんと食べてって兄貴と稜生に言われていた。
本当は少しでもいいから朝も食べて欲しいというのが兄貴と稜生の本音、とも言われた。
だから、昼ごはんを食べてないとバレるのはちょっとヤバい。
夜は食べてはいるものの、食べない日も無くはない。
「菖綺 、俺の質問に正直に答えてよ?昼ごはんは食べてる?」
「....ぅん」
「じゃあ、今日は何食べた?」
「今日は....眠くて食欲わかなかったから食べてない」
今日ぐらいは食べてないって答えても問題ないよな??
いつも食べてないけど....
稜生は真剣な顔で俺の方をじっと見つめていた。
真剣な顔で見つめられて変に緊張してしまう。
「今日だけ?」
「え....?」
「今日だけ食べてないの?」
「....ぅん」
「本当に?」
「....」
「嘘ついてないよね?」
「....・・・なぃ」
「え?」
「....たべてなぃ」
「いつから?」
「....まえから」
「前っていつ?」
「....おぼえてなぃ」
「....」
真剣な顔で見つめられて、目を合わせられて、なんでも見透かしてるように、嘘をつくなよ?という圧をかけられ、質問攻めされて、嘘なんてつけるはずもなく、正直に話してしまった。
稜生に嘘は通用しない。
正直に言ったあと、稜生はなにか考えていた。
無言で怖い。
「とりあえず、零軌 に連絡する」
「い、いやだ!」
「ダメ。」
「兄貴には言わないで!」
「今まで俺に嘘ついてた罰だ」
「なんでよッ!」
「俺聞いたよね?昼ごはん食べた?って」
「聞いたけど....」
「いつも「うん」って言ってたでしょ?」
「....」
「それと今から早退して、病院行くよ」
「え、なんで!?」
「なんでって、自分で1番良くわかってるでしょ?身長に対して体重軽すぎ」
「やだ!」
「じゃあ、早退して俺と一緒に行くのと、学校まで零軌に迎えきてもらうのと、どっちがいい?」
「どっちも嫌!」
「それはなし!なら零軌に迎えきてもらおうか?」
「やだ!結局どっちも病院行かないと行けないじゃん!!」
「それはそうだろ。じゃあどっち?」
「・・・・・といく」
「ん?」
「いつきといく、!」
「わかった。なんで怒っての?」
「行きたくないからッ!」
「嘘ついてたのは菖綺でしょ?自業自得。先生に伝えてくるから、帰りの準備してきて?今授業別室だから教室にはいないと思うし、逃げたりしたら零軌呼ぶからね?」
「....わかった、」
稜生にはバレて、零軌にもバレる。
そういえば、稜生と病院行くって言ったけど、結局零軌がいるじゃん!?!
俺の兄貴の零軌は医者だ。
ちなみに稜生は保険医なので、医師免許を持っている。
なので、兄貴と稜生は大学も同じで職場が違うだけだ。
だが、保険医になるには医師免許を取得し、2年間の初期臨床研修を修了する必要があるらしく、2年間は同じ職場で研修医として働いてたらしい。
「準備終わった?」
「うん....ねぇ、本当に行くの?」
「行くよ?」
「えぇー、嫌なんだけど」
「嘘つくからでしょー、ほら行くよー」
稜生の車に乗って、病院に向かった。
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