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病院と医者兄貴
病院に着くと、もたもたしている俺を強制的に連れていった。
受付して、連絡していたからかすぐに通された。
ガラガラガラ
「久しぶり、菖綺 」
「久しぶり....」
「会いたくなさそうだね笑」
「いやいや来てたしね笑」
「稜生 ありがとう」
「いやいや、いつも保健室にサボりに来てたのに、気づくの遅くなって申し訳ないぐらいだよ」
「そんなことないよ。あや、いつもサボりに来るのか」
稜生がサラッと余計なことまで言ってる。
まぁ、でも既に知ってるだろうけど
「だいたいは稜生から聞いたけど、自己申告しとくことある?」
「....べつに?稜生からきいてるならいいじゃん」
「そうだね。久しぶりに見た俺の感想だけど、痩せたね」
「そう?」
「痩せたよ。問診はだいたい稜生がやってくれたと思うから、採血と栄養失調だと思うから、点滴してとりあえず帰ろうか。」
「え、採血と点滴すんの?!」
「うん。寝ても眠たいんでしょ?それに食事もちゃんと食べてないみたいだし、貧血だろうからね。今更「いや」とか言わないよね?嘘ついてた菖綺が悪いんだから」
嫌って言う前に兄貴に言わないよね?って言われたら言えないだろッ!
こういうところが怖いんだよ!!
普段は優しいけど、医者の兄貴は怖いから嫌なんだ。
前には兄貴、後ろには稜生、逃げ道なんてないじゃん!!
こうなったら絶対逃げれない。
でも採血も点滴も嫌いだし、
嫌なものは嫌!!
「抵抗するなと言ったところで菖綺が大人しくなるとも思えないけど」
「それはそうだよ笑よくわかってるじゃん、稜生。」
「毎日のように顔合わるからな」
「いいなぁ〜!俺も保険医になろうかな?」
「マジでなりそうだな。しずは相変わらずブラコンだよな」
「あやはかわいいだろ?」
「生意気だけどな笑」
「そこも可愛いんだよ!」
兄貴と稜生がめっちゃ楽しそうに話してるけど、俺は全然楽しくない!!
「いっちゃん、抑えといてよ?」
「はいはい。その呼び方やめろよな」
「いいじゃん笑、俺のこともしーちゃんって呼ぶ?笑」
「嫌だよっ笑」
稜生が俺を抑えて、兄貴が針を持ったまま、2人で談笑してる。
するなら早くしてくれよッ!!
「するなら早くしろよッ!!」
「ごめんごめん笑じゃあするよー!」
「やっぱりヤダー!!」
「もう逃げられないってわかってるでしょ?」
「がんばれー」
この2人が悪魔に見えるー!!
笑顔なのが余計に怖いわ!!
やっぱり、医者は怖い!
嘘つかなければよかった....
「はい、採血終わり。怖いなら針見なければいいでしょ?」
「見ないのは見ないので怖いッ!」
「そっか。じゃあ点滴しよっか!」
「まって!休憩する!!」
「点滴まで終わったらね〜」
採血が終わって、心の準備してるまもなく点滴しようとしてくる兄貴に「まって!」と言うが、聞いてくれる訳もなく、俺の相手をしながら着々と準備を進めている。
完全に兄貴のペースだ。
「ちょっとだけ待って!!心の準備が!」
「俺が準備してる間に結構時間あるでしょ?だから大丈夫」
なにが大丈夫なんだよッ!
こっちは大丈夫じゃないっての!!
「しず」
「ん?」
「菖綺がめっちゃなにか言いたそうだよ?涙出てきてるし」
「あー、ごめんごめん。でも、早く終わらせた方がいいでしょ?早く終わらせよ?ね?」
「グスッ、別に....フン」
「えぇ、怒っちゃった?でもしないといけないから、ごめんね?」
「グスッ....」
もういいよ....兄貴に何言っても聞いてくれないのは今に始まったことじゃないし....そもそも俺が隠してたのが悪いってわかってるし....くそっ、泣きたくないのに涙出てくる....
「どうしよう、いつ〜!」
「自分のペースで進むのに、菖綺の泣き顔には弱いよな笑」
「泣かせたくないから、可愛いけど」
「笑、早く終わらせてあげたらいいじゃない?」
兄貴と稜生が何か話してたけど、そんなことはどうでも良くて、なんか自分のことでいっぱいいっぱいだった。
「あや?ごめんね、早く終わらせるからもうちょっと頑張ってね?」
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