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兄弟喧嘩と本音
それでも嫌だと抵抗した。
俺の性格上素直に従うことが出来ないから。
こんな性格嫌なのに。
「じゃあ、入ってくんな!一人で入るから」
「なんで言う事聞かないかな?そんなに俺の事嫌?」
「嫌だよ!だから一緒に入りたくないって言ってるだろ!そっちこそ話聞けよッ!」
兄貴のことは嫌じゃないけど、ただ恥ずかしいだけなのに。
それを言えない。
「そっか....ショックだけど、この際どうでもいいや。菖綺 が一緒に入りたくないって言っても俺は入るから。菖綺がどんだけ嫌がろうと、菖綺の為に一緒にはいるから」
「俺のため俺のためって言ってるけど、俺を理由にするなよッ!俺はそんな事頼んだ覚えは無いし、理由にされるのも嫌なんだよ!俺が弱いみたいに、ひとりじゃ何も出来ないみたいに」
「そんな意味で言ったわけじゃない」
「俺は....おれは」
兄貴が本気で怒ってるのが、怖かった。
怖くて、涙が出そうになって、必死に耐えてるのに、そんなの意味ないみたいに目から流れていく。
兄貴は一瞬驚いた顔をしてたけど、相当怒ってるのかまた怖い顔に戻った。
怖くなって、兄貴の顔を見れなくなった。
「菖綺、」
「うぅ....グズッ」
「菖綺、俺の目見て」
「グズッ....グスン」
怖くて顔をあげられなくて、また怒られるかもしれないって思ったけど、兄貴の声色は優しかった。
怒りも含んでたけど、それでも優しい声色になっていた。
「菖綺、俺は心配なんだ。正直菖綺に嫌われるのは嫌だけど、俺が嫌われて菖綺が幸せになるなら少しでも楽になるならそれでもいい。菖綺のためなら悪人にでもなれる。俺のたった一人の弟だから、大切で可愛くてこの世で1番大事だから。俺だって怒りたくない。菖綺の泣き顔可愛いけど、泣かせたくない。菖綺の笑顔が1番だから。」
「....」
兄貴の顔をようやく見れた。
いつも笑顔だけれど、声色は優しくなったけど、兄貴は笑ってなくて、真剣な顔をしてた。
でも怖くはなかった。
兄貴のその真剣な顔を見て、どれだけ俺のことを思ってくれてるのか伝わってきた。
俺はひとの言葉をあまり信用できない。
特に自分に対しての良い言葉が。
でも兄貴の真剣な顔で伝わってきて、また涙が流れた。
けれど、この涙はさっきまでの涙とは違う。
怖いとかじゃなく、嬉しくて嬉しくて、流れた涙だ。
「ようやく目が合ったね。菖綺、思ってることは正直に教えて欲しい。ちゃんと聞くから。」
そう言われて、ようやく自分の思ってることが言えた。
「俺が兄貴と一緒にお風呂に入るの恥ずかしいから、入りたくない。さっき兄貴のこと傷つけるような言葉を言ってしまってごめんなさい。俺、兄貴のこと嫌いじゃないし、俺のことを思ってしてくれてるのも知ってる。でも俺は兄貴が俺じゃなくて兄貴のことを優先して欲しい!それと、俺は兄貴のこと....ダイスキ…///」
「!?あやくん、俺も大好きだよぉ♡そんなこと思ってくれてたんだね!お兄ちゃん嬉しすぎて泣いちゃう。」
「その呼び方やめろよ…///」
いつもの兄貴に戻った。
急に抱きついてくるから驚いた。
入りたくない理由もわかったから、これで一人で入れる。
そう思ってた。
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