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過呼吸と検温
目から雫が落ちた。
1度落ちると、ポロポロと止まらなくなった。
顔をあげれない。
兄貴の顔も稜生 の顔も見れない。
泣きたくないのに。
泣いても何も変わらない。
早く泣き止まないといけないのに。
そう思えば思うほど涙は止まらなくて、嗚咽も出てきた。
酸素が上手く吸えなくて、
息苦しくなってきて、
過呼吸になった、、
さっきまでとは違う、苦しくて生理的な涙も流れた。
指先が冷たくて寒気も出てきた。
「ヒッ、うぅ、クッ、ハァッ、うぅ、フッ、ハッ、ウッ」
「菖綺 、落ち着いて。深く息吸って、吐いて。もう1回」
兄貴が俺を抱きしめてくれて、背中を叩きながら呼吸の指示をしてくれた。
冷たくて感覚があまりなくなった指先で必死に服を掴んで、兄貴にしがみついた。
兄貴の声に合わせて呼吸して、ようやく落ち着いてきた。
落ち着いてくると、どっと疲れが出てきて、兄貴に寄りかかった。
なんかぼーっとする。
くらくらして、体に上手く力が入らなくて、座ってるのもきつい。
兄貴に身体を預けると、兄貴はいつもの笑顔で俺の顔を見て「頑張ったね。疲れたから寝よっか」って言ってくれた。
さっきまでの冷たい兄貴じゃなくて、いつもの兄貴に戻ってたことにひどく安堵して、瞼の重みに逆らうことなく、目を閉じた。
[零軌side]
「今は何も考えずに寝ちゃいな。おやすみ、菖綺。俺も一緒にいるから大丈夫、大丈夫だよ。」
そう言って、菖綺をソッと強く抱きしめた。
さっきまで冷えてた体は今は熱を発していた。
抱き抱えて、ベッドに寝かせ、再び点滴を入れた。
今は寝てるからとりあえず脇に体温を挟めて測って、37.9℃と表示された。
菖綺が起きたら、直腸から体温を計って、38.5℃過ぎてたら座薬を入れよう。
ある程度熱が下がったら食事指導しないとね。
頑張ろうね、菖綺。
起きると案の定熱は上がってるみたいで、寝る前よりも結構高かった。
まだ入院することを嫌だと言ってるが、発熱してるのとまだ疲れているため、ぐったりしていた。
が、今から直腸から体温測ると言ったら、抵抗してきた。
どこにそんなに体力が残っているのか、ちょっと笑ってしまう。
「菖綺熱上がるから大人しくしてて」
「いやだッ!なんでおしりに入れるんだよッ!脇でいいじゃん!」
「直腸の方が正確なの」
「やだッ!」
「笑」
必死に抵抗しててあまりの可愛さに、笑ってしまった。
見てる稜生も笑ってた。菖綺は必死だから笑っちゃいけないけど。
稜生に菖綺の腰を抑えてもらって、下半身だけは動かないようにした。
「うぅっ、気持ち悪いぃぃ」
「もうすぐ終わるから」
「早く抜けよッ」
「はい、終わり」
測り終えると菖綺は布団に潜ってしまった。
息苦しくなるからやめて欲しいけど、今は口出ししないでおく。座薬入れないといけないし。
案の定熱は高くなっていて、38.8℃と表示されていた。
高熱なのに、よく抵抗するなぁ笑。
熱が上がってることは予想してたので、体温計とともに座薬も持ってきていた。
取りに行く手間が省けてよかった。
よし、菖綺にはもう少し頑張ってもらわないとね。
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