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熱が下がれば

[零軌side] 「あやー、そろそろ出ておいでー」 「やだぁー」 「息苦しくなるよ?」 「別にいい」 「良くないでしょ笑、じゃあ今はそのままでいいから、おしりだけ貸してね」 「あ、!」 菖綺(あやき)の下半身だけ布団から出して、さっきと同様に稜生(いつき)に抑えててもらい、下を脱がせて、座薬を入れた。 「入れるよぉー」 「嫌だッ!やめろッ!!」 指の第一関節が入るくらいまで奥までしっかり挿入し、4〜5秒ほど押さえた。 その間も菖綺は嫌だ、気持ち悪いと言いながら身を捩っていたけど、ただでさえ弱ってる体で稜生にかなうわけも無く、俺からしたらただただ可愛いだけだった。 「よし終わり!頑張ったね!、」 「グスン、兄貴嫌」 「えぇ!?泣いちゃった?、ごめんごめん」 「やめろ、さわんなッ、グズッ」 菖綺に泣かれ、拒否られ、零軌(しずき)は慌てながらショック受けてて、それを稜生は見守っていた。いつもの2人に安堵し、零軌の慌てぶりとご機嫌斜めの菖綺が可愛くて自然と笑いがこぼれた。 [菖綺side] 熱は39℃まで上がったけど、割とすぐ下がった。 熱がある時はキツくて寝てるだけで時間が過ぎて、いつの間にか1日終わってる。 どのくらい時間経ったのかも分からないし、そんなこと考えてる暇もない。 だけど、熱が下がれば、入院生活なんてただ暇なだけだ。 「あーひま」 「菖綺、それしか言わないな」 「だって暇だし。」 「熱が下がったからな、勉強すれば?」 「えーめんどくさい」 「笑、まぁ、勉強しなくても頭良いしな笑」 「別にそうでもないでしょ。」 「俺、そろそろ帰るな」 「えぇー、明日仕事?」 「そりゃね、」 「俺も連れてってー」 「無理。主治医の許可とったらな。それに明日から食事指導始まるだろ?」 「げっ、そうだった。お腹空かねぇー」 「ま、頑張れよ!また来るからな」 「暇人かよ」 「じゃあ来ないぞ?」 「うそです」 「はいはい笑(かわいいな笑)じゃ、また」 「んー」 あーあ、稜生帰った。 今日は日曜日で仕事が休みだから朝から稜生が病院に来てくれていた。 兄貴は日曜日だろうと仕事なので、仕事の合間に俺の様子を見に来るぐらいで、本当にちょっと顔出したら、仕事に戻る。 そういうわけで俺は話し相手も居なくて暇なわけだが、今日は稜生が朝から来てくれてたから話し相手には困らなかった。 入院中暇だと俺が言うから、学校から先生たちが作った問題プリントを稜生が持ってきた。 気が向いたらやると言って、まだ手をつけてない。 別に勉強は好きでも嫌いでもない。 いつかやるだろ.... やっぱ今しよう。 暇だし。 コンコンコン 「?」 「あやー?入るよー」 「兄貴、」 「何してたのー?」 「プリント」 「稜生が持ってきたやつ?」 「うん。暇だったし」 「ご飯持ってきたからご飯食べよ?」 「うーん」 「なにその微妙な返事笑」 もう夜ご飯の時間か.... 集中してたみたいで、いつの間にか結構時間が経ってた。 ご飯の時間も苦手だ。 お腹空いてないし、、。 「いただきます、菖綺も」 「い、ただきます....」 「(食べたくなさそう笑、お腹すいてないんだろうなぁ、まぁ様子見かな)」 病院食....美味しくない....。 美味しくないって言うか、味薄い。 体調が悪かったというのと、栄養失調、貧血もあって、胃に負担をかけないような質素なご飯。 お粥は別に嫌いじゃないけど、もう少し味がどうにかならないものか....。 塩足したい....。 それに量も....無理。 最初は頑張って箸を進めて、ご飯を食べていたけど、半分もいかないとこで止まった。 もう、お腹いっぱい....。

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