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体重測定と採血
はー先生が説得しようと優しく話してくれるけど、俺はイヤとしか言えなかった。
そうこうしてるうちに、ゆめ先生と話を終えた兄貴が俺の近くに来てた。
「菖綺 、おいで!」
そして何故か、手を俺に向けてきて、おいでと言った。
なんでか分からなかったけど、俺は兄貴のおいでにこたえていた。
「よしよし。お兄ちゃんが一緒にいるからね」
兄貴に抱っこされた理由がわからぬまま、兄貴に抱きついていた。
数歩歩いて、なにかに乗ったような気がした。
ちらっと見ると、乗ってたのは体重計だった。
俺は兄貴に抱っこされて体重測定された。
気づいた時にはもう遅くて測り終えていた。
「うーん、増えてないね。」
「というか、減ってる」
ビクッ!
はー先生とゆめ先生の言葉にビクッとした。
変わってないと思ってたら減ってた。
ヤバい、怒られる。
兄貴の顔が見るのが怖くて、兄貴にしがみついて、顔を伏せた。
兄貴は何も言わないから余計に怖い。
「あとは採血だね」
「零軌 そのまま抱っこしてする?」
「それでも大丈夫なら」
「そっちの方が菖綺も安心だしね」
「本当は零軌にしてもらうつもりだったけど、葉妃 どっちがする?」
「夢后 の方が上手いと思うから、お願い」
「そんな変わらないだろ」
また着々と話が進んでる....。
もう知らないッ
どうせ、俺のことなんて聞いてくれないし!
そう思って兄貴にぎゅーっとしがみついた。
「....!(めっちゃしがみついてる笑可愛い)」
「菖綺、腕出して」
「....」
「菖綺ー?」
「....イヤダ」
勝手に進められてイラつくし、どうせ俺の意見なんて聞いてくれないから、最後の抵抗として、兄貴にしがみついて、腕を出さないようにした。
ゆめ先生とはー先生がうーんって悩んでるけど、ずっと悩めばいい!フンっ!
「菖綺、腕出してってよ(怒ってるの可愛いけどさっさと終わらせるため)」
「....」
「あーや」
ついに、兄貴にも言われて、少し抱きつく力を緩めた。
そしたらはー先生に左腕を掴まれて、腕を置く台に乗せられて、動かせないように固定された。
「菖綺、ごめんね。腕をまっすぐ伸ばしてね。手を軽く握ってくれる?」
「....」
「あやー、はー先生が手を軽く握ってって言ってるよ」
今は兄貴が1番怖い。
だから、仕方なく手を軽く握った。
「ありがとう。そのまま手はグーにしててね」
採血部位の約5〜10cm上に駆血帯を巻いて血管を浮き出させるけど、菖綺は血管が見つけにくい。
緊張とかもあり、基本的に1発では見つからない。
血管が見えにくい場合は、温かいタオルで温めたり、手首から肘に向かってマッサージしたりして血行を良くする。
アルコール綿で消毒し、アルコールが完全に乾くまで待つ。
消毒されると、余計に針刺されるという実感が湧いてきて、やっぱり怖くなって腕を引っ込めようとした。
けど、力が適う訳もなく、、。
「やだ、こわい」
「大丈夫だよ、すぐ終わるからね」
「やだやだ」
「大丈夫大丈夫」
怖くて涙が滲んできた。
兄貴の服を濡らしてしまう、。
けど、それよりも採血を今からされるという恐怖でどうにか逃げたくてたまらなかった。
兄貴の抱きしめる力が少し強くなった。
静脈に針を刺して血液を採取された。
「いたぁぁぁいー」
「すぐ終わるからね」
「よし、終わり」
ようやく採血が終わって、駆血帯を外し、針を抜いて、圧迫止血された。
左腕はまだはー先生に圧迫止血されていて、少々パニック状態の俺を兄貴が宥めてくれた。
「グスッ、グスン」
「頑張ったね」
ようやく朝食前の体重測定と採血が終わった。
まだ朝だと言うのに、もう疲れた。
朝眠たかったのもあって、眠気が襲ってきて、兄貴に宥められながら眠りに入ってしまった。
「あれ?」
「どうした?」
「菖綺、寝たかも」
「あら、疲れたのかな」
「まだ朝食食べてないけど....苦笑」
「しょうがない。」
「そうだね、寝かせといてあげようか」
「おやすみ、菖綺」
菖綺をそっとベッドに寝かせて、零軌たちはそれぞれの仕事に戻った。
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