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芽生えた想い③
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そして迎えた、月曜の朝。
先日ほどではないものの、やはり大路君に声を掛けるのはどうしても緊張してしまう。
だからやっぱり渡すのはやめて、これはいつものように太陽にでもあげてしまおうかと迷っていたら、僕の視線に気付いた彼のほうから挨拶をしてくれた。
「おはよ、佐藤」
朝の太陽よりもまぶしい、明るく爽やかな笑顔。
……だけど彼の周りを囲むようにして集まっていたクラスのカースト上位者たちの、不思議そうな視線が痛い。
それでもこうしてせっかく話しかけてくれたのに、無言で無視をして立ち去るわけにはいかないだろう。
だから少し顔がこわばっているような気はしたけれど、笑顔で告げた。
「おはよう、大路君。……あの、ちょっとだけいいかな?」
そろりと視線を上げて、彼の表情をうかがう。
すると僕のことを見つめる彼の瞳と、完全に視線が合ってしまった。
「うん、もちろん」
それに一瞬ドキリとしたけれど、なんとか言葉を絞り出した。
席を立ち、一歩、また一歩と彼が僕に向かい歩いてくる。
たったそれだけのことで、驚くほどの大音量で心臓がドクンドクンと鳴っているのを感じた。
「あの……。この間の君の感想を伝えたら、母さんめちゃくちゃ喜んじゃって。だからもし迷惑じゃなかったら、またお菓子を受け取ってくれるかな?」
本当はもう、嫌っていうくらいよく分かっていた。
優しい彼は絶対に、拒絶したりしないって。
喜んで僕の焼いたサブレを、受け取ってくれるって。
それでもやっぱり緊張してしまうのは、彼と僕が違う人種だから。
陽キャと陰キャの間には、目に見えない高い壁がそびえ立っているのだ。
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