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第11話 そういえばそんな力使えたな

「なんで俺にだけ冷たいんだよ。こいつばっかり! イケメンか? イケメンだからか⁉」  見やすいようにパソコン画面をミチの方に向ける。 「ほら。海のライブ映像。日本のじゃないけど。海外の海」 「おお」 「ほとりー。無視しないでくれよ。くすぐっちゃうぞー」  可愛斗の指がわきわきと動いた。身体を捻ると、ヘッドロックをお見舞いしてやる。 「あだだっだだだっだ!」 「やかましいんじゃ! 勝手に入ってきやがって。呼び鈴押すところからやり直して来い」 「だってほとり堂々と居留守使うじゃん! あがががががっギブギブギブギブ」  パソコンを持ったまま騒がしい地球人から距離を取ると、ミチは画面に釘付けとなった。  動かなくなった可愛斗を捨てて、ミチの横から覗き込む。 「気に入った?」 「まあな。画質がいい」 「もし海に行くのなら声かけてくれよ。俺も行きたい」 「一緒に行くか?」  青い瞳がまっすぐに見つめてくる。こんなイケメンをド田舎から解き放っても大丈夫だろうか。信じられないくらい服装がダサければ、目立ちはしない、はず。考えが甘いかな? いっそ子どもの姿なら……誘拐が怖いな。ミニのミチはとても可愛い。  青年ミチならこいつも自由に歩けるな。よし。 「その前に服を調達しに行こう」  考えるのが面倒になったので拳を握ると、ミチの細長い指が俺の喉元をくすぐった。 「っ」  ずさっと距離を取る。可愛斗を尻で踏んでしまったがこんな所で寝ているこいつが悪い。 「ミチ? お、怒った? 近かった?」 「ん? 違う違う。可愛いなと思って。愛でてやろうとしただけだ」  微笑を浮かべ、戻ってこいこい、と長い指が手招きしてきた。カァと赤くなった顔を隠したくて背ける。 「愛でるってあのね……」 「こい」  ミチが指をクイッと曲げると、身体が前に倒れ込んだ。見えない手背中を押されたように。顔を上げれば、ミチの膝の上だった。猫のように髪を撫でられる。 「お前な。ばかっ。人前で力を……んっ」  喉をくすぐられ、変な声が出た。 「くすぐった、い、って」  離れたいのに、手足が動かない。こいつ。念動力使ってやがる。

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