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第42話 不敵な微笑。(2)

セシルの告白にウィリアムズは時間を少し置いた。 「……そうか。そうなのか」 これを聞いたウィリアムズは小躍りしたいくらい歓喜で満ちていた。 「けど、お前と同じくらい弟分のレイズナーも好きだ」 「……なんだと?」 ウィリアムズの時間が再度止まった。 「俺はレイズナーを拷問に掛けたお前の部下に腹を立てている。同時にその部下の教育をしているお前にも苛ついてるのが、自分でも理解出来る。けど、それはウィリアムズを受け入れない理由には足りない」 セシルは右目を隠していたストールを取り、目を開けた。 暗闇ではあるものの、そこにかかる傷は無残だった。 「レイズナーは俺を演じるために、同じ傷を自分で付けた。とても可愛い俺の弟分だし、半身だと思ってる。それに俺は今現在の自分に置かれた立場が割と気に入っている。ウィリアムズ、お前との過去があったから今の俺があると思っている」 「ならば海賊のまま、お前は私に愛されるという意味か」 「そうだ」 セシルはウィリアムズの喉元に短剣を翳しながら、顔を近付け唇に口付けをした。 「ウィリアムズ、俺はお前が好きだ。共に幼い頃から育ったお前を嫌いになる理由なんて、俺にはない」 「……敵でもか?」 ウィリアムズはその短剣に怯むこともなく、右目の傷に触れようとしたが、セシルはそれを拒んだ。 「敵?敵になってもお前はお前だろう、ウィリアムズ。それともなにか、お前は立場で想いまで変わるのか?」 「……お前は我儘だ、セシル。昔と少しも変わっていない」 「ああ、俺は我儘だ。欲しいものは、どんな手段を使ってでも手に入れる」 セシルはそのままウィリアムズを押し倒してから、短剣を振りかざし、ギリギリの顔のラインで止めた。 「お前が俺を拒めば、俺はレイズナーだけのものになる、簡単だろ」 ほぼ脅しのようなものだったが、ウィリアムズは馬乗りになるセシルの腰を捉えて引き寄せた。 「誰か拒むものか。私はセシル、お前が好きだ」 セシルの手から短剣が放れて、砂の上に転がった。 それから抱擁し、口付けを交わし、朝が近くなるまで抱き合った。 「セシル、本当に済まなかった」 「っ、……お前なんかを許す俺だと思うな」 悪態をつきながら淫らに愛し合う二人を見てるものは誰も居なかった。

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