20 / 26
第20話 契約の儀式 ※R-18
冬馬の瞳が、完全にαの色に染まっている。
「いいか?」
頷くと、冬馬は俺の服を丁寧に脱がせ始める。
ちょっと怖い……けど、逃げたいわけじゃない。
冬馬の手のひらがゆっくりと胸元をなぞる。
優しいのにどこか焦った感じで、身体がびくっと震えた。
「あ……っ」
「律、気持ちいいか?」
「……っ、聞くなって」
「でも、知りたい」
冬馬の手が、さらに深く触れてくる。
「んっ……ああっ……」
声が止まらない。
顔を背けると、冬馬の指が俺の身体を開いていく。
「っ……」
「力抜いて」
「……わかってる」
深く息を吸うと、冬馬の指が中を探るようにゆっくりと動き出す。
「んっ……ああっ……」
「律、可愛い声」
「出してない……っ」
「嘘。めちゃくちゃ出てる」
冬馬が少し意地悪そうに笑う。
「冬馬……っ、もう……」
「もう?」
「……いい、から」
「律……本当に、いいんだな?」
しっかり頷くと、冬馬は俺の額に優しくキスを落とした。
そしてそのまま身体を重ねてきて、繋がる。
「ああっ……!」
「っ……律、大丈夫か」
冬馬がすぐに顔を覗き込む。
「……平気」
「嘘つくな。顔、歪んでるぞ」
「……ちょっと痛いだけ」
「すぐ、慣れるから」
冬馬はそのまま動かず、じっと俺の身体が馴染むのを待ってくれる。
痛みがゆっくりと薄れ、熱に変わり始める。
「……動いて、いい」
「わかった」
冬馬がゆっくりと腰を動かし始める。
「冬馬……身体……熱い」
「それ、気持ちいいってことだ」
冬馬が穏やかに笑う。
「律……もっと、気持ちよくしてやる」
動きが少しずつ深く速くなり、身体の奥に甘い衝撃が走る。
「あっ……! 冬馬……っ……」
「ここがいいのか?」
「っ……! そこ、だめ……!」
「だめじゃない。すごい反応してる」
同じ場所を狙うように、冬馬が意地悪く突く。
「ああっ……やっ……」
「律、可愛い」
そう言いながら冬馬がキスをしてきて、唇を塞がれたまま動かれる。
「んんっ……あ、ああっ……」
頭の中が真っ白で、もう何も考えられない。
「冬馬っ……冬馬……!」
「……律……」
お互いの名前を呼び合う。
「律……もう、限界だ……」
冬馬の声が震える。冬馬の動きがさらに激しくなる。
「……っ、俺も……」
「一緒に……いくぞ」
「冬馬……ああっ……」
弾けた瞬間、世界が白く霞んだ。
身体が震え、冬馬にしがみついていた。
「はぁ……はぁ……」
冬馬が抱きしめて、背中を優しく撫でる。
「律……好きだ」
「……俺も」
小さく答えると、冬馬が嬉しそうに笑った。
「……律、印を刻むぞ」
首筋に冬馬の息がかかり、自然に身が強張る。
「……っ」
「力を抜け」
優しく囁かれ、深呼吸して力を抜く。
その瞬間――
「っ……!」
鋭い痛みが走り、冬馬の歯が首筋に食い込んだ。
痛みはすぐに熱へと変わり、身体に広がっていく。
「っ……冬馬」
名前を呼ぶと、冬馬がゆっくりと離れる。
「……っ」
「律、大丈夫か?」
「……平気」
でも指先は震えている。
首を触ると、少し血が滲んでいた。
「冬馬の……印」
「ああ。これで、お前は完全に俺のものだな」
冬馬が満足そうに笑うから、顔が熱くなる。
「律、愛してる」
真剣な目で言われ、胸がいっぱいになる。
「……俺も」
小さく答えると、冬馬がキスをする。
深くて、優しいキス。
「ん……」
冬馬と正式につがいになった実感が、じわじわ込み上げてくる。
しばらく抱き合ったまま、微かな汗がひんやり肌に残る。
「首、痛いだろ」
「……ちょっと」
「すぐ治る。数日で痕も薄くなるから。でも、完全には消えない。それが、つがいの証だ」
「……そう」
「律、今はどんな気分だ?」
――身体が、軽い。心も穏やかだ。
「冬馬のこと、前よりもっと……」
言いかけて、止まる。
「もっと?」
「……何でもない」
「嘘つくな。もっと、何だ?」
冬馬が口元を緩めて覗き込む。
「……好きになった」
小さく答えると、冬馬の表情が柔らかくなった。
「俺もだ」
ぎゅっと抱きしめられ、痛いほどなのに嫌じゃない。
「律、お前を離したくない。誰にも渡したくない」
「……っ、冬馬」
「ん?」
「……ずっと、そばにいて」
「ああ。そばにいる」
冬馬が髪を撫でる。
その手つきが心地よくて、まぶたが重くなる。
……このまま、眠ってしまいそう。
「おやすみ、律」
「……おやすみ」
これから始まる、つがいとしての生活。
不安もあるけれど、冬馬と一緒なら、大丈夫。
そう信じて、深い眠りについた。
ともだちにシェアしよう!

