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第19話 運命のつがいと意思

屋敷に戻ると、冬馬の表情が真剣だった。 「律、やっぱり危険だ。抑制剤だけじゃ足りない」 「……どういうこと」 「つがいの契約をしよう」 「……つがいの契約?」 「そう。αがΩに噛みつくことで、正式につがいになる。そうすれば、他のαはお前に手を出しにくくなる」 ――つがいの契約。 それは、一生を共にする約束。 「俺と、つがいになってほしい」 真剣な瞳で見つめられ、思わず息を呑む。 冬馬が俺の頬に手を添える。 「律……お前は俺の運命のΩだと思う。でもそれだけじゃない。俺は、自分の意志でお前を選んだ」 「……っ」 胸の奥が熱くなり、涙がこぼれそうになる。 「……冬馬」 小さく名前を呼ぶ。 「俺も、冬馬を選ぶ。運命だけじゃなく、俺の意志で」 その答えに、冬馬の表情がふっと柔らかくなる。 「……ありがとう」 額にキスをされ、胸の奥が温かく満たされた。 「じゃあ、正式につがいになろう」 「……うん」 小さく頷くと、冬馬がすぐに顔を上げる。 「……いつするの」 「今、すぐに」 即答に思わず目を見開く。 「は!? ……今?」 「ああ。一刻も早く、お前を俺のものにしたい」 冬馬の瞳が熱を帯び、胸が高鳴る。 「……急すぎるだろ」 「素直じゃないな。さっき自分から選ぶって言ったくせに」 「言ったけど……」 「嫌か?」 「……嫌じゃ、ない」 小さく呟くと、冬馬が満足そうに笑う。 「律、部屋に行くぞ」 手を引かれ、自然と従う。 心臓が騒いで息が浅くなる。 これから冬馬と……正式につがいになる。 一生を、共にする。 怖いけれど、嬉しい。 冬馬となら、きっと幸せになれる――そう、信じている。 部屋に入ると、冬馬がそっとドアに鍵をかけた。 「律、本当にいいんだな?」 真剣な目で見つめられる。 「……うん」 「後悔しないか?」 「しない」 迷いなく答えると、冬馬の表情がふっと柔らかくなる。 「そうか……」 優しく微笑み、その手を取られ、ぎゅっと抱き寄せられる。 「お前のフェロモン……さっきからずっと、俺のαを刺激してる」 「……そんなの、俺のせいじゃ……」 「わかってる。だけど、もう……我慢できない」 冬馬の体温が伝わり、胸の奥がドキドキする。 「律……」 名前を呼ばれて、顔を上げる。 「怖いか?」 「……別に」 強がると、冬馬が笑った。 「嘘つき。顔真っ赤だぞ」 「赤くない……」 「素直じゃないな、相変わらず」 そう言って、冬馬が優しく髪を撫でる。 「大丈夫だ。大事にするから」 頷くと、冬馬が俺の唇にキスをした。 優しくて、でも熱いキス。 「律……触っていいか?」 「……好きにすれば」 そっぽを向くと、冬馬が楽しそうに笑った。 「じゃあ、遠慮なく」 冬馬の手が、そっと身体に触れる。 優しく、でもどこか焦るように動く。 「んっ……」 「律……」 唇が重なって、冬馬の舌がゆっくり入ってくる。 息ができない。 「はぁ……冬馬……」 「律、ベッドに」 「……うん」 ベッドに座ると、冬馬が俺を押し倒した。

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