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思った以上に*
リンはすっかり立ち上がりきっているそれをそのままに、あろうことか下着を着ようとしていた。
「待って待って。せっかく2人で一緒にいるのに、リンが我慢する事ないよっ」
どうしてこうもリンは自身を後回しにするんだろう。
手で抜くくらい、1回だって2回だって同じ事だよ。
そんな遠慮する事ないのに……。
それとも、手で抜くくらいの事、むしろ自分でできるからいいって事なのかな?
「私は充分に満足している」
リンはそう答えて、優しく微笑んだ。
ああ、この顔は知ってる。
リンは、俺を安心させようとしてくれているんだ。
「でも……、それでも、リンは俺に反応してくれたんだから、俺にさせて欲しいんだ……。ダメかな?」
リンを見上げて、小さく首を傾げる。
ダメだとか嫌だって言われてしまったら、諦めるしかないんだけど……。
リンは、イケメンとしか言いようのない整いまくった顔をカアっと赤く染めた。
それはえっと……、いい……って事かな?
「俺と、してくれる?」
確認すれば、リンがコクコクコクと無言のまま頷いた。
でも、もう一度同じように手でっていうのも味気ないよね。
うーん。俺の太腿はそこそこ筋肉がついちゃってるんだけど、どうかなぁ……。
俺は枕を抱えると、布団に伏せてお尻を持ち上げる。
うん、自分でこのポーズをするのはちょっと恥ずかしいけど……、多分この姿勢がリンもやりやすいと思うんだよね。
「っ、ケイト……?」
戸惑う様子のリンに苦笑しないよう気をつけつつ、尋ねる。
「リンはこういうの知ってるかな? えっと……俺の脚と脚の間に、リンのを挟んでほしいんだけど……」
「いえ、あのっ、はいっ」
リンはどうも、テンパると敬語に戻るよね。
普段敬語なキャラが素を出す時だけ敬語じゃなくなるとか、そんな設定はよく見るけど、リンの場合は逆なのが面白いなぁ。
どの辺に挿し込もうかと悩んでいる様子のリンに「この辺に入れてみて」と足の付け根にそこそこ近いあたりを指してみる。
俺も実際にするのは初めてなので正直良く分からないけど、あんまりキワだと危ない気がするし、足をぎゅっと閉じても付け根はくっつききらないから、ちゃんと密着するとこがいいかなと思って……。
「香油を使う方が良いですか?」
まだ敬語だなぁ。
肩越しに振り返ると、リンの視線はベッド端の宮棚を見ていた。
あ。香油の瓶、置いといてくれたんだ。
エミーがリンに持たせてくれてたのかな……。
よく気の付く有能侍女の悪戯っぽい笑顔が胸を過ぎって、俺は嬉しいような懐かしいような、ちょっと切ない気持ちになりながら「そうだね」と答えた。
リンは、手早くリンのモノに乳白色のそれを纏わせると、手をタオルで拭ってから俺の腰にそっと手を添える。
リンの大きな手が俺の腰を固定するだけで、俺の身体は向こうで過ごしたリンとの夜を思い出してしまうのか、ゾクリと背が震えた。
つられて、心臓がどくりと跳ねてしまう。
うー……。違うから。今回は入れないから。
頼むから余計な期待をしないでくれ、俺の身体……っっ。
「失礼します」
緊張感の伝わる言葉とともに、リンの熱いモノが俺の揃えた脚の間にぬるりと入り込む。
「っ……」
想像した以上に生々しい感触に、思いもよらずぞくぞくと背が震える。
俺の真後ろで、僅かに掠れた声が俺を呼ぶ。
「ケイト……」
その声があまりに色っぽくて、俺は顔が熱くなるのを隠すように布団に伏せながら、なんとか伝える。
「えっと、そのまま、リンの良いように動いてね……?」
「……なるほど、分かった」
ようやく理解が及んだらしいリンがゆるゆると動き出す。
俺の内側でない分、俺の痛みを気遣わずに済むからか、リンは次第に動きを大きくする。
リンの立派な腹筋が俺の後ろにぶつかる度に、鈍く伝わる刺激。
そのじれったい感覚に、ジリジリと腹の奥が熱く疼いてくる。
ぅあ、ヤバい……。
これは、なんか、リンに抱かれてるみたい、で……っ。
ドクドクと心臓が早鐘を打って、息がじわじわ上がってくる……。
不意に、俺の背にリンがぴたりと身体を寄せた。
俺が贈ったペンダントが、俺の耳元でチャリっと音を立てる。
リンの体温と香りに包まれて、まるでリンに深く抱かれているような錯覚に陥る。
「ああ……、ケイト……」
うっとりと感じ入るような艶のある声が、熱い吐息と共に俺の後頭部に降る。
その途端、ゾクリとした快感がどうしようもなく俺を貫いた。
「ぅあっ……」
思わずあげてしまった声は、なかった事にしてほしい。
「ケイト……?」
リンが気づいてしまった。
リンに揺さぶられて、実は、俺も感じているという事に……。
「ケイトも、気持ち良いのか……?」
不思議そうに尋ねるのはやめてください。めちゃくちゃ恥ずかしいので。
「――っ……」
答えられずにいる俺を、リンはわざと強く揺らした。
「ぅあ……っ」
腹の内まで響く快感に、思わず声が漏れる。
リンが後ろで小さく笑った気配と共に、リンの抽送が早くなる。
「ぁ、……っ、……ぅ……。んっ……」
後ろや前へと伝わる甘い刺激に、俺は小さな喘ぎをいくつも零した。
「前に、触れても……?」
リンの熱のこもった言葉に、俺は布団に頭を擦り付けながら頷く。
感じてないフリなんてできそうにない。
大好きな人が俺に触れて、俺で感じてくれてる……。
それがこんなに嬉しくて、ドキドキしてしまうなんて。
先月までは、まるで知らなかったのに……。
リンは俺の立ち上がったモノに手を伸ばすと、優しく包んで擦ってくれた。
「んんっ、ぁ……、リン……っ」
後ろへの甘い刺激に前への強い刺激が重なると、腰も膝もガクガクと震え出す。
「や、あっ……んんっ……ぅあんっ」
溢れそうなほどの快感に包まれて、じわりと涙が滲む。
力が入らなくなってきて、崩れかけた俺の腰をリンの太い腕がしっかりと支えてくれる。
ああ……リンの腕、俺大好きだ……。
いつでも俺を支えて、助けてくれる……。
「あ、あっ、リンっ、リン、好き……っ」
甘い刺激が身体中いっぱいになって、ふわふわしてきた頭が快感しか拾えなくなってくる。
「ケイト……、なんて愛らしい……」
俺の脚の間で、リンの熱が質量を増す。
激しく揺さぶられ続ける俺は、リンに擦られる度、リンの筋肉に叩かれる度にぐんぐんと高みへと押し上げられてゆく。
っ、ダメ、だ、もう、気持ちいい、しか、考えられな……っ。
「ぁあっ、んっ、リン、気持ちいぃっ、あっ、んんっ」
リンにぎゅっと前を強く握られると、一気に快感が弾けた。
「ぁ、ぁぁぁああっっんんんんんんっっっ」
あられもない声をあげてしまったのが自分だと気づけないまま、ビクビクと跳ねる自身の体に翻弄される。
ぎゅっとつぶってしまった両目からこぼれた涙は、静かに布団に吸い込まれていった。
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