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【Prologue】

 αは俺から『普通』を奪っていく。  ──ずっと許せなかった。  同じ位、自分の事も……  雨が続くと眠れない。  後腐れのない奴を引っ掛けてワンナイト。泥のように眠る為のルーティーン。趣味は童貞の筆下ろし。ヤるなら断然、冴えないβ。  絶対にαとは寝ない。そう固く決めていたのに。  時折、髪を撫でながら、頬や耳に熱い唇が触れる。まるで恋人にするように、男は俺を優しく抱いた。  見覚えのあるシルバーアッシュの髪。信じられなくて目の前のポスターを呆然と見つめた。  数時間前まで一緒にいたあいつと同じ顔──

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