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第16話 きっとこの先も ***【終】

「……文化祭、一緒にまわりたい」 國臣に言われて、俺は考えた。 パートナーになっても、受験生だから大学に受かるまでデートはなし。 って事は、高校三年生の二人の思い出って何? と聞かれたら、変な話、勉強かセックスしかない。 「高校最後だしな。良いよ」 「……やった! 嬉しい」 彼女いない男同士で文化祭まわる寂しい奴らは、沢山いる。 俺達も、そんな寂しい奴らだと思って貰えれば良い。 ……と思っていた俺が、馬鹿だった。 「こら!! 学校ではエロい事をしないって約束したろ!!」 後夜祭のキャンプファイヤーを備品室のベランダから見よう、と言われてひょこひょこついてきた俺。 まんまと國臣に襲われ、ベランダの立ち上がりに隠れている下半身はズボンもパンツも下ろされていた。 「しーっ、鍵は俺が持ってる上に、部屋の鍵も閉めたから大丈夫、誰も来ない」 「そういう問題じゃなくて……!」 「……ごめんね、約束したのに。もう、絶対しないから、許して?」 「ぁうっ……!!」 國臣は、涼しい顔をして、俺のアナルに手をまわす。 「ほら、こんなアナルプラグ咥えちゃって……準備万端だし」 「こ、これは國臣に頼まれたから……っっ」 俺こそやる気満々だと言われて、赤面する。 「でもこのシリコンプラグ、俺が渡した中でも上級者向けのやつだよね? 本当は俺に埋めて欲しくて堪らないんじゃない?」 「~~っっ」 学校でやりたくないのは、本当。 でも、國臣が言うことも、その通りだった。 まさか、この俺がお尻の穴でイける様になるとは思わなかった。 そして「俺と出来ない日にも、ちんこじゃなくてアナルで気持ち良くなってね」と國臣が渡してきたのが、幾つかのアナルプラグだった。 小さなものから、フック型で少し動かせるものまで色々。 で、最終的に行き着いたのが、開口式のアナルプラグだ。 内部でパックリ開いて壁にフィットするから挿入中の安定感が抜群に良くて、直腸を強引に押し広げられるという独特の圧迫感が癖になる。 抜く時はちょっとコツがいるけど、一度味わったら辞められない。 縦位置にすると前立腺まで届く優れものだから、逆にセックス出来ない日は刺激を抑えて横位置にする。 もう、俺は立派なアナラーだった。 正直、女の子との普通のセックスでは欲求不満が堪る事間違いなしだ。 「……じゃあ、す、少しだけだからなっ!?」 「うん。少しだけ」 そして、10分後。 「……國臣ぃっ……!!」 「……少しだけでしょ? おしまい」 「あ、後……少し……」 「仕方ないなぁ。でも俺、ちょっと疲れちゃったから、希翔が上になってくれる?」 「上?」 「騎乗位ね」 初めてする体位に、胸が高鳴る。 俺に、上手く入れられるだろうか。 「大丈夫だよ、希翔のアナル、もうトロトロだし。ほら、両手でお尻を広げながら抑えてご覧」 「……こ、こうか?」 「そう。上手。そのまま、腰を下げて……」 足がぐらつきそうになるのを何とか堪え、ぬぷぬぷと國臣のペニスに落としていく。 「んん……ッッ」 「……希翔、えっろいなぁ……」 「ふ、はぁ……」 俺の尻が國臣の身体までたどり着いた。 「……こ、これ……いつも、より、当たるぅ……」 深く突き刺さった、國臣のペニス。 普段と当たるところがちょっと違って、俺は上半身を國臣に委ねる。 「……これからが本番なのに、入れただけでへばらないよ~」 國臣がそう言いながら、俺の尻をむんずと掴んだ。 そのまま激しく、揺さぶられる。 ぢゅ! ぢゅぽ!! ぢゅぽ!! ぢゅぷ!! 「ひゃ! あ! あ! あぁッッ!!」 「……希翔の喘ぎ声、脳天に響く……」 俺の穴の中で、太さと硬さを増す國臣の肉棒。それが俺の気持ち良さを倍増させる。 ぢゅち! ぢゅっぷ! ぢゅっぷ! ぢゅぷん!! 「~~ッッ!」 「……希翔、もうイったの? 可愛い。弱々なオスマンコ、可愛いなぁ」 俺は、國臣に散々揺さぶられ……結局下半身がドロドロになるまで、貪りあった。 *** 「國臣、合格おめでとう」 「……ありがとう、希翔」 十二月。 公募推薦で國臣は大学への切符をあっさりと掴み、俺はそれを祝福した。 「くっそ~、絶対俺も受かってやる……!!」 「うん」 國臣はイベントを楽しめる身ではあったが、俺を誘う事は一切しなかった。 二週間に一度のセックスすらもせずにひたすら俺の勉強に付き合う。 それが、有り難くも、寂しくもあった。 パートナーでいる限り、俺らは対等だ。 國臣も、セックスくらいしたいと言えば良いのに……と考えて、自分勝手な自分に自嘲する。 以前、邪魔をするなと言ったのは自分。 國臣は、自分の願いを叶えているだけだ。 ──そうして、二月。 俺に、奇跡が起きた。 「國臣!! 受かった!! 俺、受かった……!!」 スマホ越し、ちょっと涙声になる俺。 「……うん、良かった。頑張ったね、本当に」 「國臣、今すぐ会いたい」 俺がそう言うと、國臣は少し驚いたようだった。 「……うん、勿論。嬉しいな」 「今から、國臣の家行く」 「……わかった、待ってる」 猛ダッシュで、國臣の家に向かう。 「いらっしゃい」 久々に見た國臣は、やっぱり格好良かった。 「國臣、俺……お前が、好きだ」 「……希翔?」 「俺、大学に行っても……その先も、ずっと付き合い、たい」 俺が大学に合格したら言おうとしていた言葉を発すると、國臣は俺に抱き付いた。 「……やばい、凄く……嬉しい」 「ごめん、なかなか言えなくて」 「……ううん。凄く、今、幸せだから」 そのまま一晩中セックスして、裸で抱き合った。 きっとこの先も、俺は不安になっては國臣との関係に悩む事があるんだろう。 でも、それでも……やっぱり一緒にいたいんだ。 ただ、ひとつだけ、國臣に引っ掛かっている事がある。 俺は、國臣の幸せそうなほっぺをつまんで抗議した。 お前の施すトラウマ克服法が荒療治すぎる、と。

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