9 / 9
9.
れいすけはいつだって嬉しそうな顔を見せてくれる。
口にしなくても、こっちの言いたいことを大体分かってくれる。
「ハニワのだいこうしん!」をままと一緒に観るのは楽しいけど、れいすけは同じくらい好きと言ってくれて、いっぱい話してくれる。
おえかきもままの膝の上で描くのは楽しいけど、れいすけも同じくらい「じょうずだね」と言ってくれる。
れいすけだけは、いつでもぼくのことを見てくれる。
うれしい。
「あ、⋯⋯あ、りぃが、と⋯⋯」
れいすけも同じように目を丸くして、それから「うんっ!」と笑顔を見せた。
上手くはっきりと言えなくて、自分に腹立つ言葉もれいすけはこうして嬉しそうにしてくれる。
うれしい。
れいすけは、れいすけだけはずっとこのまま変わらずにいてくれるのだろうか。
「皆さんお集まりしましたし、ケーキを用意しますね」
「たーちゃん、けーきだって! たーちゃんのけーき、たべにいこ!」
片手に繋ぎ直したれいすけがそう言って引っぱってくれる。
半分びっくり、半分喜びでうんっと頷くと導かれるように共に行った。
この手もずっと離さないでいてくれたら。
その願いを込めるようにそっと握り返したのだった。
ともだちにシェアしよう!

