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キミのすべてを、受け止めたい・第6話-6

「あれ、縛られたいんですか?」  ふるふると顔を横に振ったが、半藤には通じず、リードを外してそれを両手首に結び、腕を高く上げるように命じられた。 「コマンド使わないって言ったのに、さっそく命令しちゃいました。あぁ、でもこの姿もたまらないなぁ。このまま挿入しますね」  脚を持ち上げられて、窄まりの奥へすこしも衰えていない半藤の熱く硬いものが挿った。  留まることなくどんどん奥が突き上げられて、蒼真はそのたびに前から漏れてしまう。 「突くたびに潮吹くからお腹の上がびっしょびしょですね」  半藤はそれをすくって指を舐めた。美味しくて仕方ないという表情だ。 「ねぇ、蒼真さん。中に出していいですか?」 「んっ、あんっ、もちろんっ、ていうか、いっぱい奥に出して欲しい。口からも下からも航希のでいっぱいにしたい」 「あぁっ、好き、好きです、ほんとうに好きすぎて、時が止まって欲しいくらい、好き」  いままでよりも奥に当たっていて、なにかが込み上げてきそうになった。 「奥、気持ちいい……! ダメ、あんっ、そこ、もっと欲しい! 突き刺してっ、こうきぃ!」  溶け合ってひとつになったら、なにも怖くない。  誰にも邪魔されない世界にいきたい。 「好きだよ、航希、大好き、ずっとずっと傍にいてよぉー!」 「いますよ、蒼真さん。言われなくてもずっと蒼真さんこと好きで好きで追い続けているんですから。どこか行こうとしたって、ボクから逃れることは二度とできませんからね!」 「……航希、永遠に俺を支配して─。なにもかも俺のすべてを奪って、航希の言うことだけを聞いて生きるセカイがあったら行きたいな」 「もちろん、行きましょう。ボクもそれを望んでますから─」  どさりと半藤が蒼真の上に覆いかぶさり、熱いものが腹のなかにどんどんと注ぎ込まれるのを蒼真は感じた。 「けっきょく蒼真さん、サブスペース入ってましたね……。お願いだから、すべてを委ねたい、とかそんなこと言わないでください……」  かすかに半藤が息を荒げながら呟く声が聞こえた。  意識はふわふわと柔らかいものに包まれているように心地よい。  ずっとこのセカイで、半藤から愛されて束縛されて自由を奪われて生きたい。  それが蒼真にとって、腹の底からの願いだ。 「でもさ、蒼真さん。それは現実にはできないんです。ボクたちの欲望だけの願いが叶うのは」  ずるりと半藤が身体から抜ける瞬間、蒼真は現実に戻ってくる。 「あれ、俺……」  どろりと後ろから出てきそうな感覚があり、力を込めた。  半藤のものをいまは留めておきたい。できればずっと留めて自分の一部にしたかった。 「お風呂行きます? ここのホテル、部屋にサウナあるんですよ?」  半藤がキスをしながら囁く。 「ねぇ、蒼真さん。誓いましたよね。ボクたちは支え合って、生きてゆくって」 「あぁ、そうだ。俺はずっと航希と一緒にいたいから、嫌なときはセーフワードを叫ぶって」 「よかった。さっきサブスぺ入ってしまった蒼真さんは、ボクにすべてを支配されたいって叫びながらいっちゃうんでドキドキしました。ボクの自制が効かなかったら……」  それは互いの命すら落とすことだってある。  蒼真は青ざめて半藤の胸のなかへ抱き着いた。 「ごめん、お、俺、なんか変なこと言ったみたいだな……」 「たぶんずっと会えてなかったから、Sub欲が強くなっちゃったのかもしれませんね。ダメですね、ボクたち。禁欲とかするのは危ないです」 「じゃあどうするんだ?」 「まいにち、しましょ?」 「はっ? まいにち? エッチするの?」 「イヤなんですか? ボク、Dom欲もですけど、性欲もとっても強いの知ってますよね? だから遠征とかで離れちゃうときは、通話して声だけでイカせてあげますから」  蒼真はなに言ってんだよ、と呆れながらもずっと一緒にいるための策を考えてくれる半藤を愛おしく思った。 「たしかにな。航希の声、ちょっと色っぽいから俺なんかすぐ出そう」 「なにそれ、可愛いです! どうしよ、声だけで蒼真さんのことイカせてからサウナ入ります?」  もう汗だくだからサウナはもうちょっとあとでな、と蒼真が告げると半藤は近くにあったホテルのタオルで熱波を送るように仰いだ。 「あ、そうだ、航希。来週のホーム戦、試合を観に来てもらえるかな」 「えっ、もしかして……?」  蒼真は親指を立てて、グッドのポーズをとった。 「ほんとうは那須さんが一軍で先発予定だったんだけど、まだ調整に時間がかかるらしくて、俺が代役になった」 「わぁ! 絶対行きます!」 「席は俺が球団に掛け合って用意しておくから。それに……ありがとな」  もう一度、蒼真が半藤の胸に抱き着くと温かい手のひらで頭を撫でられた。 「半藤と出会わなかったら、俺、もしかしたら野球人生終わっていたかもしれない。また一軍で先発できるようになったのは、航希のおかげなんだ。だから……もし球場で俺が投げる姿見て、航希も投げたいって思ってくれたらもっと嬉しいかも」  医者に野球を辞めるよう言われたことで諦めたと言っていたが、それが本心かどうかが蒼真にとって引っかかっていた。  プロとは言わないけれど、もう一度マウンドへ上がる喜びを半藤とも分かち合えたら──。 「……蒼真さんの足元にも及ばないかもしれないけど」 「サウナ施設で働くのももちろん素敵な仕事だけど、せっかくトレーナーの資格持ってるなら、球団でも働けるんじゃないか、なんて。キャッチボールとか片山さんが手伝うときもあるし」 「えっ、それって、ボクのことを誘ってます?」 「片山さんに話してみてもいいかなって思ってる。そのほうが航希も心配にならないだろ?」 「もう、蒼真さんって、ほんとうに優しいひと。好き、大好き、一生好き、愛してます」    半藤にふたたび押し倒されて、サウナに向かうのはもう少しあとになりそうだと蒼真は思った。  濃厚なキスをし合う時間が愛おしい。  明日はこれでコンディションはばっちりだろう。  プロでいられる期間は、長い人生でほんのわずかな時間。  蒼真はその瞬間を最大限、大好きな半藤の前でマウンドに上がり続けることを、熱波よりも高い温度の口づけをしながら誓った。 【100℃よりも熱くキミに溶かされたい】 おわり

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