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第1話 高校デビュー

 どこにいたの? どんな人生を生きてきたの?  初めておまえを見た時、思った事。  高校の教室で、おまえを見つけた。俺は根暗だ。高校生になったら人生を変えよう、そう思って意気込んでいた。もう今までの陰キャな自分は嫌だ。入学式から数日。まだ新しい環境に馴染めないでいる。  入った時から目立っていた、ピアス野郎が声をかけて来た。 「おまえ、遠藤佳央(えんどうよしお)って言うの?  俺、上田佳純(うえだかすみ) 席、近くだからよろしく。」  爽やかな奴だと思ったが、この時のよろしく、はその後のカンニングとかの手伝いだった。とんでもない奴。  あいうえお順でとりあえず、暫定的に近い席。 「かすみ!」  息を弾ませて走って来たのは美少年と言ってもいい、可愛い奴だった。 「席、離れちゃった、やだなぁ!」  柳瀬誠(やなせまこと)と言う名前は後で知る。 「マコは同じクラスになったからいいだろ。」  上田は笑って柳瀬の肩を抱いた。 「⁈」 (なんだ?この距離の近さは?)  男子校ではスキンシップは当たり前なのか? 「ねえ、佳央は何か部活やるの?帰宅部?」  いきなり下の名前を呼び捨て⁈ 「まだ考えてないよ。」 「サッカーやろうよ。」 「そういうのは、ずっとやってないとダメだろ。 小学校からとか。」 「関係ねえよ。この学校は弱小チームだから。」  上田はもう決めたようだった。柳瀬という奴は 「ボク、マネージャーやるから。 入ってよ、サッカー部。人数集まらないとクラブ自体が無くなっちゃうんだ。」  存続の危機だと言う。 (俺に関係ねえよ。)  放課後、律儀に見学に行った。体験入部? 慣れないクラスで、あの後、誰ともしゃべらなかったから。唯一話しかけられた上田佳純に懐いてしまった。  グランドは土の匂いがした。田舎だから広い。埃っぽい土のグランド。  ウォーミングアップしている数人の生徒。 「せんせーっ、新入部員だよー。 練習マッチやろう。5人ずつで。」 「フットサルかよ。」 「いいじゃん、ピッチ半分使って。」  先生と誠を入れてやっと10人だった。

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