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第82話 ガキの使い
黒川は怒っていた。組長に報告に行く。
「飛んだバカ息子の不始末をウチの組に隠蔽してくれって。どのツラ下げて来るんだか?」
あの動画を撮って煽っていたJKが立件されるのを恐れている。
「幹部の嫁だから、被害届を取り下げて欲しいので、被害者の個人情報を知りたいそうだ。
簡単に調べられるだろうが、ヤクザの報復か。
動画自体が大問題だ。流出したら警察も本格的に動く。ガキのケンカでは済まない。」
凶悪犯罪なのだ。今関の酷い犯罪が暴露される。
「馬鹿野郎!
今関工業のバカ息子の趣味か?中山のバカ息子のしでかしたことといい勝負だな。
二人ともぶち殺したいが。」
今の所、警察が動いているのはいじめの動画だけだろう、というM会の判断で、被害届の取り下げに動いたらしい。もみ消すのに、脅しと金だ。
被害者の工藤の家に弁護士が訪ねた。
工藤は頭に包帯を巻いて、腫れ上がった顔が痛々しい。ほっそりとした幼さの残る高校生だった。
母親が、
「重症です。学校も教育委員会もキチンと聞いてくれなかった。診断書を取りました。
加害生徒が勝手にSNSに上げて自分から証拠を出してくれましたから。」
取り下げはしません、と母親は言った。
囃し立てて煽った者たちの顔はハッキリとわかっている。ネットでは特定班が身元を暴き立てている。速攻で逮捕された猪飼辰夫に全部,罪を着せようとしたが、間に合わなかった。
「加害者の人権がー、とかもう言っていられない広がりを見せています。どうか被害届を下げてもらえませんか?」
弁護士は問題の一面しか知らされていなかった。もっと悪質な今関の動画が出回り始めた。
R15指定にしなければならない残虐動画。
ネットでは顔と名前住所つきで今関が晒されていた。中山の息子たちも晒されるだろう。
「SNSが無かった時代は揉み消されたでしょう。発表の場があることは被害者のせめてもの救いです。」
マスコミの偏向報道も庇いきれなくなって世論はガラッと変わった。
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