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第84話 まともなシノギ
久しぶりにキシの部屋に佳純がいる。
「なんか、ずいぶんヤバいことになってんの?」
「ああ、ただ見て煽ってる傍観者たちだろ。
ネットでは、おもしろがって見ていた奴らが許せないって、炎上しているらしいね。」
キシの隣に座って、肩にもたれかかっている。
顎を指で持ち上げられて優しいキスをもらう。
「M会のシノギってのが、ものすごく悪質なんでしょ。ウチの組も酷い事やってるの?」
キシは笑って
「企業秘密ですよ。」
「うそ?」
秘密にするようなやばい事やってるのか?と佳純は驚く。
「いや、ウチは健全ですよ。」
「健全なヤクザって、ダメじゃん。」
佳純は組の財政が気になった。
「儲かってないんだね。健全って。」
触法することに手を染めないとヤクザは成り立たない?
「前から、力を入れているのが音楽興行なんだよ。カシラが芸能界に顔が利くんだ。
フェスとか、佳純も興味あるんじゃない?」
面白い話が出て来た。
「極道は昔から、芸能に携わって来たんだよ。
ヤクザは博打と芸能。興行を仕切るのが本筋なんだ。」
佳純はヤクザの新たなシノギの道を見つけたような気がした。
「そう言えば、高校の軽音とか、いい感じのバンドがたくさんある。みんな芽が出なくて頑張ってる。」
あの蓮華坐を思い出した。
「組でも、イベントの企画とかフェスの開催とかに力を入れたいと思ってるんですよ。」
カシラの黒川のコネクションで、ケツモチのキャバクラでも売れない歌手とかが出演する。自分のCDを手売りするのだ。
「昔っから、芸能の仕事は極道が仕切ってましたから。芸能界と反社の繋がりって叩かれるけど、
お門違いだ。元々芸能を仕切るのはヤクザの仕事です。
それでフェスなんかを企画しているイベントメーカーは、みんなヤクザと関わりがあるんです。
悪質な反社じゃなくて、興行師ですよ。
誤解が多いけど、外タレなんか呼べるのは、ヤクザとギャングのネットワークです。」
中には汚い奴らが殺人ショーなんかやらせて
FBI に潰された事もあるらしい。あのM会も目をつけられているという。
「おもしろい!
蓮華坐も売り出してくれ!」
佳純は楽しくなって来た。
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