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第85話 蓮華坐 再起動
久々に軽音の部室に行った。
「よおっ、なんかキナ臭い動画で持ちきりだったね。」
京也が顔を出して1番に言う。
「イジメとか、うんざりだ。気がつかないけど、お宅らもイジメとか有るの?」
「うーん、ネットで炎上してるようなのは聞かないなぁ。」
「三年だろ、忙しいのか?」
「いや、俺らはバンドの方で忙しいよ。」
佳純が
「その話なんだけど、フェスって出たくない?」
「出たいけど、まだ、バンドの体もなしてないしな。」
「蓮華坐も名前だけで、開店休業だし。」
佳純が
「オレ、やるよ。やりたい!」
「何で,急に?やる気スイッチ入った?」
佳純は家の稼業が芸能興行にシフトするのを喜んでいた。堅気とは言わないが少しはマトモな仕事に思えるから。
「今度の湾岸ミッドナイトフェスに出ないか?」
佳純の家の家業。上田興行が主催すると言うのだ。
「まだ、バンドになってないよ。
アマチュアもアマチュア。
全然出来てないよ。」
「これからやるんだよ!」
「何?このやる気?佳純の心境?どうした?」
佳純は自分が演者になる事で少しでもヤクザのイメージを払拭したいと思った。
「練習やろう!新曲できた?教えて。」
佳純の声にバンドのメンバーは俄然、やる気を出した。このバンドが面白いのは、年令とか全くこだわりがない所だ。
帰りがけにみんなでファミレスに寄ってミーティングだという。
佳央も、回復した誠も一緒に誘われた。誠は車椅子から,杖で歩く位には回復している。
「大丈夫か?
疲れたら言えよ。おぶってやるから。」
佳純の声に誠は嬉しそうだった。
楽器を担いだ高校生の集団は、奥の広い席に案内された。田舎のファミレスは親切だ。
ネコ型ロボットが近寄って来た。
「よおっ、量産型ミケ、こんちは。」
雅が声をかけた。
「ロボットなのにミケって名前なの?」
「俺がつけた。」
雅は、まるで知り合いの飼い猫に対するようにフレンドリーだ。
ネコ型も懐いて仕事をしているように見える。
「このメンバーはおもしろいな。」
佳央もいいバンドだ、と感じた。
佳純の隣で誠も嬉しそうだった。
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