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第86話 いやがらせ(⚠️暴力場面有り。)

 佳純からバンドのことを聞いたキシはなんだか、ホッとした。この所佳純が、極道は何をやってもダメだ、と思ってるのが辛かった。  確かに反社だ。誇れる事ではない。しかし、やり場の無い理不尽と戦えるのは,極道だけだろう。この所、嫌な動画が出回っていて、みんな気分の悪い日々を過ごしていた。  佳純は昨夜から久しぶりにゆっくりキシの部屋で甘やかされている。  抱き寄せられて顔を見られる。 「なんだよ、恥ずかしいよ。」 「佳純は綺麗だな。お母さんに似ているのか? 親父には似てないな。」 「あんな強面じゃなくて良かったよ。」  何度もキスされて蕩けてしまう。キシのベッドにも慣れた所だ。 「こんな大きいベッド,俺のためじゃないね。」 「いや、結局佳純とだけしか使わないだろ。」 「うん、他の人とベッドに入ったらいやだ。」  キシはふっと笑った。スマホに電話が入っている。渋々出るとキシの顔色が変わった。 「佳純、今日はヤマとキムと別件の仕事が入った。佳純をガード出来ない。  独り歩きはしないでくれ。」  キシに言われて佳央に連絡させられた。 「何か、あったの? やばい事?」 「ああ、佳純は人の大勢いる所にいてくれ。 黒川さんが誰か寄越すって言ってるけど。」 「嫌だよ。いかにもヤクザ,みたいな人にくっつかれるのは。」  それで佳央と駅前で合流した。 「どうした? キシさんから電話もらってビビったよ。」  佳純は佳央の手を取って歩き出した。 「辰夫に聞いたんだけど、なんか酷い事になってるらしい。」  部屋住みの辰夫もあまり詳しい事は知らないようだった。 「なんか、組の若いもんが1人、事務所の前に捨てられてたって。」  とんでもない事になっている。腕を折られて、足に太い釘を何本も打ち込まれて、気絶した所にシャブを打たれて、半ば発狂状態だった。気を失う事も許されない中国式の拷問だと言う。  救急病院に運ばれたが、後でご丁寧にその様子を撮った動画が送られて来た。 「今関の小僧、性懲りもなく、動画撮ってるんだ。」 「警察は何も出来ない。今関は保護観察で済んでいる。」  他の組員が続々と集まって来た。日頃事務所では見かけない顔が多い。こんな連中、どこにいたんだろう。みんな強面だ。 「穏健派の上田組だが、元々関東有数の武闘派よ。おとなしく暮らしていたのにな。起こしやがった。舐め腐って。」  みんなモロ肌脱いで大広間に集まっている。 素晴らしい彫り物を背負っている。  差し詰め、刺青の展覧会だ。 黒川が来た。テレビをつけた。DVDをセットする。新しいものが届いたという。  女性が顔を腫れ上がらせて腕を固定されている。引き攣った叫び声と同時に指を一本一本折られている。綺麗にネイルされた指が反対側に曲げられている。 「酷でえ!女に何やってんだよ。」  嬉しそうにやってるのはあの大山ノアと田坂美知、そして池上いずみだ。 「女がこんな残酷な事するなんて!」  女性は散々殴られたんだろう。腫れ上がって顔の形もわからない。顔面血だらけだ。 『花束』のナンバーを張る朱里(じゅり)ちゃんだった。麗華の片腕。  M会が名乗りをあげた。 「上等じゃねえか!タマ取ってやる。」

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