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第87話 子供
今関はもう止まらなくなっている。
「最高だぜ。親父は町の名士だ。
警察も何も出来ないさ。」
今関の父親は、この田舎町の高額納税者だ。
親父が会長の工業団地が町のほとんどの雇用を担っている。町の産業の中心だ。
今関のスプラッター動画はもう限度を超えて犯罪だ。以前から暴行事件として起訴されるべき案件だったが、なぜか、注意で済んでいた。
警察も工業団地の献金で潤っている。町の重要な産業を牛耳っている今関の父親に手が出せない。政治家を巻き込んで町全体が腐りきっている。
「M会がこの町に事務所を構えてから,町の治安が酷くなった。ガキどもが調子に乗ってんだよ。」
町の年寄りたちが嘆く。何もしないで傍観者を決め込んでいた老害たちにも非は大きい。
今関は狂った事を言い出した。
「ねぇ、M会の兄さんよ、俺、子供殺してみたいんだよ。アメリカのムービーで見たんだよ。」
今関は調子に乗って脅しをかけてくる。
「あんたがコンテナに隠してるヤクをバラしてもいいのかな?」
弱みを握られている中山は、自分の孫の事を所望されているとわかった。
「あんた!何考えてんのさ。自分の孫を差し出せって?昔の中国みたいにか?
あたしは許さないよ。」
友里恵は、思い切り殴り飛ばされた。赤ん坊は泣き叫ぶ。孫は今まで妾の友里恵に大切に育てられていた。
母親のいずみは、
「あたし、ガキきらいなんだよね。
ウザいからいらない。今関君にあげてもいいよ。欲しくなったらまた作るから。」
人の心はないのか?
今関は完全に精神を病んでいる。隔離が必要だ。
M会は黙ってやらせているのか。
上田組の組員たちが怒りに立ち上がった。
「政治屋どもがみんな無かったことにする。
朱里ちゃんの被害届も、カタワにされた康治の事も真面目に捜査してくれない。
一体どうなってるんだ?」
「ヤクザはやられっぱなしで死ねばいいとお国がそう思ってんだな。」
みんなやり場のない怒りに震えていた。
「武者震いだ。俺たちのやり方で落とし前をつける。」
キシたちは、水杯(みずさかずき)を交わした。
(最後にもう一度佳純を抱きたかったなぁ。)
キシはしみじみ思った。
話はどんどん進んで、事を構える用意は整った。
「どうするんですか?」
「今関を拉致る。
同じ思いを体験させてやろう。」
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