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第88話 拉致

 隙を見て今関を拉致って来た。M会は一応今関のガードはしていたが、組員は、この頃の今関の狂気に付き合うのが嫌になっている。 「キモいんだよ。奴の考えることが。 命懸けで守ってやる必要があるとは思えねえ。」  M会も一枚岩ではない。昨日今日、集まった半グレ集団だ。硬い絆の極道ではない。  シノギも動画の売り上げと、ヤクのそれでは比べ物にならない。儲かるのは御法度でもヤクだ。 「ヤク捌いてる方が後味悪くねえな。」 「何言ってんの?根性ねえな。 人殺すのも経験よ。数こなせば平気になるよ。」 「アメリカじゃスナッフビデオが高く売れるらしいぜ。」 「主に東南アジアとか中国で作られてんだろ。 日本で撮ってるのうちだけじゃね?」 「日本製は臨場感があって人気なんだよ。 好きな奴はいる。今関の動画は売れるんだよ。 素人臭いのがいいんだって。」 「今関さんだろ。呼び捨ては聞かれたらヤバいぞ。」 「いいんだよ、あんなキチガイ。 胸糞悪いったらねえな。」  M会の事務所は鉄壁の守りになっている。 たくさんのカメラ。防犯センサーが少しでも異物を感じるとけたたましく鳴り響く。それだけ、弱腰の組員ばかりなのだろう。  始まった。作戦実行だ。 今関の自宅にまず、精鋭が二人。ピンポーン! 「宅配便です。」  無造作に今関が顔を出した。 「新品のレンズ、届いたかな? わっ、何だよ。」  二人組の組員が簡単に口を塞いで毛布に包み,縛り上げて肩に担いだ。まるで大きめの集配の荷物らしく見える。  組員は元運送屋で梱包はお手のものだった。 宅配便のトラックの荷台に放り込まれた今関は簡単に拉致られた。 「ちょろいな、こいつ何にも警戒してねえのよ。」  その調子でM会の事務所から、康治と朱里さんに手を下したと思しき数人を連れて来た。  あの中山もいた。 「俺は幹部だぞ。 テメェたちは命が惜しくねえのか?」  組員たちはガン無視で 「次はあのお嬢ちゃんたちですね。」 「女どもはつるんでどこに隠れてんだよ。」 「ビビって逃げ回ってんですよ。」 「震えて眠れ,だな。」

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