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第160話 拉致?

 佳純はキシに甘えている。 「もう嫌だよ、ヤクザなんて。」  キシが優しく肩を抱いて 「どこかに飛ぶか?」 「うん、ジャマイカ。一緒に行ってみたい。」  キシが抱き寄せて顎を持ち上げて顔を見る。 見つめ合ってしまう。 「それにしても人は罪深い生き物だな。」 「行方不明の女子高生って、俺の知ってる娘かな?」 「どうせ、遊んでる娘たちだろ。 佳純の交友関係にあるのか?」 「女は少ないな。特にガキは。」  スマホのバイブ音が聞こえる。手に取った佳純が顔色を変えた。 「佳央、間違い無いのか?」 「ああ、この3日間帰って来ないんだって。 家の人が俺の所まで探して電話して来た。」  佳央の中学の時の友達がいなくなったと言う。 谷田玲子と上山春子。 「新宿でアニメの同人誌即売会があって、手に入らないマニア向けの同人誌が出品されるって、 出かけたらしい。」 「新宿だったら日帰り出来るだろ。いくら田舎だからって。連絡も無しに3日も帰らないのは変だな。」  佳央は焦って佳純の所に連絡して来た。 「谷田玲子は不良じゃ無いんだ。 無断外泊なんてする娘じゃない。」  佳純も顔は知っている。 「新宿ってヤバくない?」  黒川に聞いてみる。 「ああ、チャイマが六本木から新宿に移った話は聞こえて来る。ヤバいな。」 「堅気の女の子を誘拐するなんて。」 「まだ、誘拐されたと決まったわけじゃないだろ。何か言って来たのか?」 「いや、わからない。お母さんが心配している。」 「馬鹿野郎!」  新宿の同人誌即売会で見かけた女子高生を拉致って来たM会の若いもんは、殴り飛ばされた。  あの拷問DVDも出品されていたから、見に来ていた女の子を攫って来ても大丈夫だと思ったらしい。 「トッポそうなJKで、ああいう拷問ショーとか好きだと思ったんだよ。」 「誰が、拷問されるの好きな奴がいるかよ。 見るのとやられるのは大違いなんだよ。  情報が漏れたら犯罪だ。」 「ねえ、玲子、ここヤバいんじゃない? 家に帰してくれないし、変な檻に入れられてるよ、アタシたち。」  春子が不安を口にした。玲子もこれはかなり怖い状況だ、と思った。  彼女たちを拉致して来たチンピラは、玲子のスマホを取り上げるのを忘れていた。  充電が残り少ない。なぜか、遠藤佳央にかけたのだった。

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