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エピローグ
『扉』の向こう、丘の下から徐々に馬車が姿を現した。
俺は扉の真下でじっと待っている。真っ白な服で。どうしようもなく落ち着かないのは、この慣れない服のせいだと思うことにする。手元には花束。その香りを嗅いで俺は気を落ち着かせた。
馬車が扉の向こう側で止まる。俺と同じように白い服を着た男が降りてくる――フェンだ。
馬車の周りにいた民衆が、彼に祝福の花と言葉を浴びせている。
フェンはその民衆の一人、イグの前で立ち止まった。
俺は彼を見る――イグの隣には、一人の理知的な眼差しの男が立っている。その男が、イグとフェンに向ける視線を見て、彼がイグの言っていた恋人だと理解する。
彼はまるで自分のことのように嬉しそうな顔をしていた。
俺は彼が嬉しそうなことが嬉しかった。
何か会話を交わしていたフェンは、イグと拳をかつんと合わせると、こちらに向き直って歩いてきた。
「楽しいことばかりではないだろう」
俺の後ろで親父が言う。
「つらいこともたくさんある。簡単な道ではない」
「わかっています」
俺は答える。
「それでも俺は決めました。彼と一緒にいることを選びました」
決断するということ。それが何よりも大事なのだ。
振り返った。親父の、慈悲深い眼差し。親父は――国王は最後に一言だけ。
「幸せになりなさい」
「――はい!」
俺はそう返事をし、向かってくるフェンに駆け寄った。
抱きついて、強く抱きしめた。
俺を抱き返したフェンが俺をぐるぐると回す。俺は視線を上げた。見上げた先には、扉の門があった。扉は開いている。きっともう閉じることはないだろう。
歴史は、今も作り出されている。数多の決断と、行動によって。
俺はこれからも、それを続けていかなければならない。
つらいことも、厳しいこともあるだろう。
それでも大丈夫。大丈夫だと思える。大丈夫だと、君が思わせてくれる。
俺はフェンを抱きしめ、その――『しるし』のない綺麗な顔にキスをした。
(完)
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