18 / 27
第18話 映画研究同好会の睦部長
九重くんと別れた僕はそのまま奥まったところにある部屋へと向かう。もともと生徒会の会議室として使われていたらしいが、手狭になりこの会議室は古巣となったと聞いている。
現在は映画研究同好会の活動場所として借りている小さな部屋だ。
部屋のプレートに『映画研究同好会』と掲げられているのを見つつ、僕は部室のドアを引いた。
「よおー。守須。みんな待ってたぞ」
「みんな待たせてごめんね」
顧問の佐藤先生が読みかけの本を片手に僕を見つめた。佐藤先生は保健室の先生もしている。そんな中、映画を見たり読書をするのが趣味らしく、映画研究同好会の顧問を務めてくれている。
僕の背中の怪我のことに触れる素振りはない。それに少しほっとした。部室に来たのは村野と三上にいじめを受けて以来初めてなので、部室にいる4人の目線が一気に僕に注がれた。みんなに謝罪をしてから部室のドアを閉める。
「部長! お久しぶりです」
元気よく笑顔で話しかけてくれる屋久島くんは、初めてできた僕の後輩のうちの1人だ。
他の3人の後輩もそれぞれ丸テーブルの周りを囲うように椅子に座った。それを確認してから僕はこほん、と息を吐く。
「では文化祭に向けて映画研究同好会の展示について話し合いを始めるね。野中さん。いつも通り書記をお願い」
野中さんは静かにスマホを取り出してメモの準備をしている。大人しい後輩だがとても真面目で責任感が強く書記に大抜擢された。
「それではまず去年の展示について振り返りをしよう」
僕はスマホの画面をタップして後輩4人に見せた。屋久島くんは「へぇー」と言葉を洩らし他の3人は「ふむふむ」と画面に映る展示をしげしげと見つめている。
「去年は1個上の先輩が10人いたから、こんなふうにわいわい展示をしてたけど今年は先輩たちは受験勉強のために引退したから、部長をやらせてもらっている僕と君たち4人でやるんだ。去年より規模は小さくなると見込んでるよ」
屋久島くんがはい、と挙手をする。
「俺たちは今年入部したので去年の展示どんなだったか詳しく教えてほしいっす」
他の3人も屋久島くんの言葉にうんうんと頷いている。僕は去年の文化祭を思い出しながら話をする。
「去年は『人生で最も影響を受けた映画』を展示したよ。部員それぞれが1人1作品を選んで一言紹介文を載せてSNSで宣伝したんだ。といっても映画研究同好会のフォロワーさんは39人しかいないけど……」
ともだちにシェアしよう!

