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第19話 文化祭の展示について話し合い
「えーっ。39人もいれば十分っすよ。じゃあ文化祭当日は俺たちは特に部室に集まって何かやるっていうのはないんすか?」
屋久島くんの質問に僕は待ってましたと言わんばかりに人差し指を立てて説明を始める。
「そうだね。去年は任意で文化祭当日に部室に集まって展示する人もいたし、それぞれクラスの出し物もあるだろうからそっちに専念してる人もいたよ。僕としては今年は部員も少ないから展示はSNSのみにして当日は文化祭をたくさん楽しんで欲しいなと思ってる」
僕はゆっくり言葉を紡いで後輩4人に説明する。そうするとおずおずと手を挙げる2人の生徒がいた。
「「あの、質問があるんですけど……」」
2人同時にタイミングが合わさり声がハモった。2人はそっくりな顔を見合わせながら肘でお互いの肩を小突いている。双子の姉の笹野ゆりさんが小さな声で聞いてきた。
「クラスの出し物とかの休憩中に部室を使って涼んだり休んでもいいですか? 体力にあまり自信がなくて……」
色白の笹野ゆりさんが気まずそうに言葉を呟いた。僕は少し表情を緩めて「うん」と頷く。
「もちろんいいよ。僕もそうするつもりだよ。佐藤先生もいいですよね?」
読書に耽っていた佐藤先生は名前を呼ばれてぴくんと肩を跳ねさせてから親指を突き立てて「いいよ」とサインを送ってきた。そうすると双子の弟の笹野こうきくんが「あの」と男子としては高めの声で手を挙げた。
「映画研究同好会の展示の準備にはだいたいどれくらいかかりますか? 自分のクラスはお化け屋敷をやる予定でかなりスケジュールがきつきつで……」
申し訳なさそうに眉を垂らす笹野こうきくんにゆっくり相槌を打つ。
「そうだよね。僕のクラスも忙しくなりそうだから、みんなで部室に集まって準備をするのが難しいよね。なので、映画研究同好会のグループチャットにそれぞれ『人生で最も影響を受けた映画』と、それについての一言紹介文を送ってもらえれば僕がSNSで投稿するようにしようと思ってるよ。みんなそれでどうかな?」
僕の提案に屋久島くん、野中さん、笹野ゆりさんと笹野こうきくんが小さく頷いた。
「そうしたら去年の先輩たちの展示は映画研究同好会のSNSに載せてあるからそれを参考に作ってみて。何かわからないことがあったら僕に連絡して。可能な限りお手伝いさせてもらうね」
後輩たちが大きく頷いてから今日の話し合いは終了した。書記をしてくれた野中さんにメモをスマホに転送してもらう。それを確認しつつ帰宅の準備を始めた。
「それじゃあ部長。お疲れ様でした。お先失礼します」
後輩4人が部室を出ていくのを見送り、ほっと肩の荷を下ろす。
もともと人前で喋ることが苦手で、特に複数人ともなればそっと空気を薄くさせてやり過ごすのが常なのだ。しかし、1つ上の先輩部員は10人いたが、僕の代は他に部員がいない。そのため他に部長を務める者がいないのだ。
ふと、空になった丸テーブルを見つめる。高校に入学したばかりの後輩4人は僕からしてみればまだよちよち歩きのひよこのように見える。みんな新しい環境に期待と夢と希望で胸がいっぱいなはずだ。そんな部員たちが安心して心を癒される空間を映画研究同好会では作りたい。
そのため僕は苦手な喋りをなんとか克服するために日々部員たちと向き合っている。そのせいかもあってか少しずつ部員たちとの距離も縮まってきた気がする。僕の肌感覚だけれど……。
スマホの画面に映る時計を確認した。17時45分。思ったよりも時間がかかってしまった。
「佐藤先生はまだ部室に残りますか?」
「うん。部室の鍵はこっちで閉めるから守須はそのまま帰っていいぞ」
読書に夢中な佐藤先生は目を合わせることなくそう言ってきた。僕は小さく頭を下げてから「お疲れ様でした。失礼します」と部室から出ていった。
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