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第27話 文化祭1日目

「ようこそ! 2年A組みゃうみゃうカフェへ!」  西園寺さんを筆頭にコンカフェのキャストたちがお客さんを教室の入口まで出迎えた。  コンカフェの命名は西園寺さんがしたそうだと九重くんから聞いた僕は「なるほど。かなりインパクトのある名前だな」と感心したものだ。  文化祭1日目がスタートし、教室の前の廊下には2年A組のクラスだけ長蛇の列ができていた。  その整備に追われるのが九重くんをリーダーとするDチームだった。途中列の札と最後尾の札を用意しお客さんに頭の上で掲げてもらう。  幸い大きなトラブルなく列は進んでいく。僕もお客さんからの質問に精一杯声を出して答える。  隣のクラスは迷路の出し物をしているので、廊下にもお客さんの悲鳴や楽しそうな声が響くのだ。いつもの僕の声量では全く周りの人に聞こえなくなってしまう。だからお腹から息を吸ってはきはき喋るようにした。 「すごいお客さん並んでるね。九重くんのSNS運用が大当たりで集客ができてるのかな」  文化祭が開幕して1時間後に九重くんと僕はDチームの2人の女子生徒とバトンタッチした。九重くんと僕は教室に入り水分補給をとりながら廊下の人だかりを眺めた。 「まじでSNSの力って半端ねえなって改めて思った。文化祭専用のアカウントを作成して、ABCDチームそれぞれの当日までの準備してるオフショット載せたり、内装と外装の紹介ツアー動画載せたり、1番はキャストたちの紹介動画の反響が大きくてさあ。西園寺は5000いいね超えてるし、玲乃に関してはずば抜けて2万いいねだぜ? やっぱインフルエンサーって知名度高いんだな」  ちらり、と僕は教室内に設けられた席をまわるキャストのうちの一人に目が釘付けになる。  ふわふわの白いシフォンメイド服に身を包みメイクを施した女装姿の玲乃を目で追いかけた。髪色も白髪だからか天使のように儚い印象の西洋ドールのような見た目をしている。  お客さんと会話をしたり、フードやドリンクの提供をしている様子を見てやはり玲乃は完璧人間だと僕は思った。 「よっすー。2人とも休憩中?」  にゅっと後ろから顔をのぞかせたのはCチームのリーダーの冴島くんだった。九重くんは肩を組み出迎え、僕は軽く会釈した。 「冴島のチームすげえわ。普段過ごしてる教室じゃないみてえに華やか。ほんとにザ・コンカフェの内装と外装だ。Cチームのみんな愛してるぞー」  ぎゅぎゅっと九重くんが冴島くんの肩に抱きついて離れない。やはり九重くんはスキンシップが豊富な人なんだと僕は再確認した。 「やめやめ。男同士でくっつきあってんの暑苦しいわ。俺の彼女が見たらドン引きするわ」  『彼女』というワードに睦の心がぴくんと跳ね上がった。  そうか。文化祭、恋人と一緒にまわるのも珍しくないか。  僕は白い大理石柄の床シートに並べられた机を見てはっとする。  4人がけの席が3つ、8人がけのバーカウンター、2人がけの席が4つ。  その席に座っているのは半分以上が男女のカップルだった。みんな思い思いにカフェでの時間を楽しそうに過ごしている。それを見ていると僕の胸はなぜだかきゅっと抓られたように痛み、目を逸らす。

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