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第45話 スケジュールを決めたよ
「せや。俺らも行く場所決めんと。京都と大阪は俺の庭や。どこへでも連れてったるで」
むふふ、とドヤ顔で言い切る冴島くんに僕はほっと胸を撫で下ろす。
まだ京都と大阪エリアには行ったことがない。詳しい人が傍にいるから安心して旅ができそうだ。一方の玲乃はというと、気ままにスマホで観光スポットを調べている。僕は冴島くんに質問をしながら、3人でどこへ観光に行くかを話し合った。
「そんなら初日は修学旅行の間ずっと京都駅近くのホテルに泊まるから、近場で飯行こか。ごっつ美味いお好み焼き屋知っててん。土産屋もぎょうさんあるから見るだけでも楽しめるはずや」
「うん。初日は体力温存して、2日目と最終日に思いっきり遊びたい」
冴島くんの提案に僕はうんうんと頷きながら同意する。玲乃も「いいんじゃね」と冴島にこぼしていた。
「そしたら2日目と最終日は──」
HRがちょうど終わる頃に3人の修学旅行のスケジュールが決まったので、リーダーを買ってでてくれた冴島くんが葉月先生のところへ向かう。玲乃は僕にだけ聞こえるようにそっと耳打ちしてきた。
「寝る部屋一緒なの嬉しい」
悪戯じみた笑みを浮かべる玲乃に僕はぷいと顔を背ける。
「冴島くんもいるから変なことはできないよ」
そう言うと玲乃がくくく、と喉を鳴らして笑う。
「なあに。睦は修学旅行の夜に変なことされたいの?」
「なっ……ち、ちがうっ」
しまった。墓穴を掘っちゃった。これじゃまるで僕が玲乃に変なことをされるのを期待しちゃってるみたいじゃないか。
玲乃はくすくす笑い続けて僕に囁く。
「顔真っ赤っか。図星でしょ」
「……っ」
その時冴島くんが戻ってきたので、僕はそっぽを向いて顔の熱を冷まそうとする。
「よっしゃ。葉月センセからオッケーでたからこのスケジュールで行こか。あとは当日まで体調管理しっかりして修学旅行楽しもな!」
弾けるような笑顔の冴島くんを見て僕も玲乃も和やかな雰囲気になりHRを終えた。
前期の終業式が終わり夏休みが始まった。
僕は夏休みから通うことに決めた塾の夏期講習に打ち込んでおり、息つく間もない日々を送っていた。
午前中から塾へ向かい帰宅するのは21時頃。個別指導塾なので勉強のペースはすべて生徒に合わせてもらえる。ただ、入塾テストの際に自分の実力を出したところ思うような良い結果ではなくてそれが僕の気持ちを少し焦らせていた。
学校のテストの成績が良くても、大学受験の試験内容は応用問題が多くまだ習っていない分野の内容も多く答えられなかったからだ。
玲乃と顔を合わせることは夏休みの間一度もなかった。家が隣だというのにこんなにも会えないなんて、と初めは寂しく思っていたが、玲乃のSNSのアカウントを見るとインフルエンサーの仕事で忙しい様子だった。
仕事があるんじゃ仕方ないかと納得した。玲乃が出演しているバラエティ番組を見ることが僕の寂しさを癒した。
SNSでバズった街中のカフェやスポットを同じくインフルエンサーの|美音《みおん》という女子高校生と一緒に散策している動画だ。
この動画はかなり好評で『玲乃くんと一緒にデートしている気分になれる』と多くのファンが喜びを爆発させていた。僕のその一人であり、時々あざとい仕草をして玲乃に絡む美音に嫉妬したものだ。玲乃はそれを上手くスルーしていて、その塩対応ぽさがさらにファンの心を掴んでいる。
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